「被害相談をしたことによる不利益な取り扱いの事例がとにかく多い。隊員から、心の叫びが多く寄せられている」。26日に東京都内であったシンポジウムで、主催した「自衛官の人権弁護団・全国ネットワーク」の武井由起子弁護士は危機感をあらわにした。 元陸上自衛官の五ノ井里奈さんが性被害を訴えたことを機に、防衛省は2022年9月、全自衛隊のハラスメント実態を調べる特別防衛監察を始めた。23年8月に公表された結果では、被害申告は1325件あり、パワハラが76.7%、セクハラが12.3%だった。 結果公表と同時に、外部専門家の有識者会議が「ハラスメントは個人的関係において生じるとみなされ、組織の風土・特性から発生するとの認識で対処されてこなかった」などとし、ハラスメント教育の見直しなど防止対策を提言。防衛省によると、提言内容を踏まえ、外部講師らによる教育や相談窓口の拡充などを進めている。