今年の夏、国立科学博物館で、初の昆虫展が行われる。意外かもしれないが、初である。展示の題は、そのまま『昆虫』。どういう経緯で決まったのかは聞いていないし、なんのヒネリもないように思えるかもしれないが、「昆虫のすべてをみせてやろう」「うちがほんとの元祖だ」「うちが本気だすとこわいぜ」みたいな、気概が感じられる。ような気がする。 それで、私もこの展示の監修者に加わることとなった。主催の読売新聞とフジテレビに昆虫展の経験がなく、相談を受けたのがきっかけで、もともとお手伝いする予定だったこともあったし、結局いろいろなコーナーを担当することになったので、成り行きで監修者にご指名いただいた。この仕事に時間を割くための職場での立場もある。つまり正式に監修者となっていれば堂々と動きやすいということである。これまでの約10年、手探りで独自の昆虫展示を続けてきたが、その経験が人様の役に立つとは思わなかった。