さて、言語の本質とは何だっけ。これを機にさっと思い起こそう。 チョムスキーは、つまるところ「再帰性」だと考える。 再帰性(recursion)とは、たとえば、「彼は感染した」という文が、「「彼は感染した」と医者は言った」、 「「「彼は感染した」と医者は言った」」と君は信じている」、 「「「「彼は感染した」と医者は言った」」と君は信じている」」」と私は思う」、のように同じ構造を入れ子にしていくらでも拡張できる性質をいう。 この性質は人間の言語にしかない、つまり他の動物の認知には決して現れないとチョムスキーは確信する。そして、再帰性の何がすごいのかといえば、有限の語を使って無限の文が産み出せることだとする。 しかし、こう強調されて素朴にどうだろう。私は正直「ふ〜ん」という感じだった。 言語がわかる能力はヒトの脳だけに固有のしくみとして埋め込まれている。したがって、世界のあらゆる言語において文を