第37信(藤谷治から仲俣暁生へ) 仲俣暁生様 二人の偉大な日本人芸術家が、ともに三月のうちに亡くなったというのは、僕にとっても思うところの多い出来事でした。三日に大江健三郎氏が亡くなったと報道され、その死と業績について思いめぐらしているうちに、坂本龍一氏が二十八日に亡くなったと、四月に入って報じられました。 有名人の、報道によって知らされる死というのは、いつもであればある象徴性をともなったマイルストーンのように感じられるばかりで、その肉体的な死には思い至らないものですが、三月の大きな二つの死は、僕にはけっこうな生々しさをもって迫ってきたのでもありました。というのも、僕は二月に母の臨終に立ち会ったばかりなのです。母の年齢は大江氏に近く、死因は坂本氏のそれと同種のものでした。 無論、だからといって僕に彼らの死が「判る」などとは毛頭思いません。それらの死を同列に扱うような非礼もするつもりはありま
80年代の終わり、池袋の西武百貨店の地下にあったリブロという書店によく行った。家からわりと近い銀座近辺に教文館、近藤、山下、旭屋、福家、改造社、丸善、八重洲ブックセンターなど大きな書店が数々あったのにわざわざ池袋まで通ったのは、ひとえに品揃えや店の造りがユニークで、訪れて店内をぐるぐると歩き回るたびに脳みそがチクチクと刺激を受けるような気がしたからだ。 その書棚は書店員が意匠を凝らした作品のようで、古今東西の歴史と文化と社会をいろいろな角度から切り取った本が、からみ合うように並べられていた(気がする)。こんな小難しいものを誰が買うのだろうと不思議になる思想書を、目の前で手に取ってレジまで運ぶ人が少なからずあり、ニューアカ華やかなりし時代の空気にかぶれていた自分も背伸びして何冊か買って帰ったが、多くは2、3度パラパラとめくっただけであとはしばらく積んだままになった。 そんなことを思い出しなが
1 ホテイウオ(アラバマ州) 2010/06/14(月) 11:16:41.45 ID:RwC0OAID ?PLT(12001) ポイント特典 iPadは、インターネットやメール、ゲームなどが楽しめる多機能情報端末だ。特徴の一つが電子書籍を読める機能。使い勝手の良さ、何冊も保存可能なことから電子書籍時代を加速させる情報ツール(道具)として期待されている。早くも大手出版社などが電子書籍の配信を始めたが、紙の本を取り扱う書店の反応は複雑だ。 開店120年目の“黒船襲来”に、取締役の遠山秀子さん(50)は「本屋の未来はどうなるか…」と戸惑う。母親(78)と妹2人、叔母の女性5人で切り盛りする家族経営の“街の本屋さん”。 「土曜日の利益はパートに出たほうがましなときもある」と、つい愚痴も出る。書店のもうけは定価の2割程度で、紙袋の経費もばかにならない。雑誌1冊の客に単価が20円程度の手提げ袋
サキとは彼女の自宅近く、湘南台駅前のスーパーマーケットで待ち合わせをした。彼女は自転車で後から追いつくと言い、僕は大きなコインパーキングへ車を停めた。煙草を一本吸ってからスーパーマーケットへ向かうと、ひっきりなしに主婦的な女性かおばあちゃんが入り口を出たり入ったりしていた。時刻は午後5時になる。時計から目を上げると、待たせちゃったわねと大して悪びれてない様子でサキが手ぶらでやってきた。 お礼に料理を作るとはいえ、サキの家には食材が十分足りていないらしく、こうしてスーパーマーケットに寄ることになった。サキは野菜コーナーから精肉コーナーまで、まるで優秀なカーナビに導かれるように無駄なく点検していった。欲しい食材があると、2秒間程度それらを凝視し、一度手に取ったじゃがいもやら豚肉やらを迷うことなく僕が持っているカゴに放り込んだ。最後にアルコール飲料が冷やされている棚の前へ行くと、私が飲むからとチ
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