「いま読んでほしい」本を売る 駅ビルにある本屋だが個性が光る。JR盛岡駅の「さわや書店フェザン店」はそんな店だ。「書店の棚は自己主張の場ではなく、客の思いにどこまで寄り添えるかだ」と語る店長の田口幹人さん(41)。本を手に取りたくなる、そして買いたくなるような書棚作りの秘密に迫った。 この店にはポップが多い。それも長文の。今年、力を入れて売りたい本を「さわベス2015」として書籍、文庫それぞれを店頭に掲げる。書籍は1位に原田マハさん「奇跡の人」(双葉社)、2位に川名壮志さん「謝るなら、いつでもおいで」(集英社)といった具合だ。 「謝るなら−−」は、2004年、長崎県佐世保市の小学校で6年生の少女が同級生に殺害された事件がテーマのノンフィクション。ポップには「三度読み三度むせび泣いたのは、わが子を亡くしてなお気丈に振る舞う被害者の父の姿と罪の意識を抱けない加害者少女(のちに発達障害と診断され