皮膚-自我 ディディエ・アンジュー 言叢社 1993 Didier Anzieu Le Moi-peau 1985 [訳]福田素子 編集:島亨・五十嵐芳子 装幀:芦澤泰偉 皮膚は体を包むズタ袋ではない。 傷ついたり、皺になったり、鳥肌がたったりするし、 汗をかいたり、匂ったり、吹き出物が出たり、 愛したり、嫌ったり、萎縮したり、怒張したり、 あるいは言うことをきかなかったりもする。 いったい皮膚や体表とは何なのか。 皮膚には、脳と分有しているものがある。 それは「皮膚-自我」なのである。 皮膚はわれわれにひそむ「たくさんの私」のうちの 何人かぶんの自己そのもの、自己群なのだ。 皮膚は体を包むズタ袋ではない。傷ついたり、皺になったり、鳥肌がたったりするし、汗をかいたり匂ったり、吹き出物が出たり引っこんだり、愛したり嫌ったり、萎縮したり怒張したり、あるいは蚊に刺されたりすると、勝手な発情を始め
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