戦後創成期ミステリ日記 作者:紀田 順一郎松籟社Amazon ミステリマガジン今月号に有栖川有栖氏が「赤い鳥の囀り」と題するエッセイを寄稿している。「容疑者Xの献身」を巡る論議の一環をなすもので、そのなかで有栖川氏は、二階堂黎人の「容疑者X」論には納得できないものの、その「評論家への不信」という心情には共感できるものがあると書いている。 「評論栄えには、褒め殺しという落とし穴もあるし、読者はしばしば移り気だ。同業者の一人として『腰を据えて、これからも自分にしか書けないと信じるものを書いていきましょう。それができるだけで作家は満ち足りている』と言いたい。」(ミステリマガジンp.60より引用) それにつけて思い出されるのは最近読んだ紀田順一郎の上掲書だ。面白いところをちょっと拾ってみよう(以下強調太字は引用者) …そんな暇がちょっとでもあるんなら、もっと清張や鮎哲や高木彬光を叩け!/打て!/切