新宿にて。とても興味ぶかく見ました。作品ぜんたいに志が感じられるし、品のある映画だという好印象を持ちました。映像や、役者たちの所作にもほどよい緊張があってよかった。個人的にはすきな作品ですが、なにかと誤解されやすい部分もあるとおもうので、そのあたりをフォローできればとおもいつつ書いています。 荻上監督の前作「かもめ食堂」はおおむね好評でしたが、中にはいくつかの批判もありました。曰く「非現実的である」「商売はそんなに甘くない」「世の中はもっと欲望に満ちているはずだ」「夢想したまま歳を取るなんて虚しい」等々。その批判は今作にも当てはまる可能性がある。田舎でゆっくりと自由に暮らす人々──という基本プロットだけでも、批判的な意見が想像されます。「田舎暮らし」という実体のない幻想や、LOHAS的な安易さ。荻上はその批判を先取りするかのように、劇中、田舎で暮らす似非エコロジストたちのコミューン生活をい