利用者の声は解ではない 利用者の声を受け止めて、よりよい製品を作りたいとデザイナーであれば考えるはずです。しかし、利用者の声がデザインの解を提示しているとは限りません。ときには根本的な問題の解決になっていないことがあります。 それを裏付ける考え方として、政治学者であり認知心理学者でもあるハーバード・サイモン博士が 1956 年に提唱した「Satisficing」という用語が参考になります。これは、Satisfy(満足)と Suffice(十分)を組み合わせた造語で、日本語では「こんなもん化(参照)」「満足化(参照)」と訳されることがあります。 Satisficing とは、人が「まぁこれで大丈夫だろう」という解に落ち着く状態のことを指します。サイモン博士によれば、人は問題を解決するための最高の答えを探し求めることはせず、与えられた状況のなかで出来ることを考える傾向があるそうです。 例えば