失敗は、「簡単なこと」「当たり前のこと」で起こる:情報マネージャとSEのための「今週の1冊」(82) IT活用にまつわる“鉄則”や“以前から指摘され続けていること”ほど、われわれは軽視してしまいがちだが、リスクとはそうした姿勢にこそ潜んでいるのかもしれない。 「非常時に、ITはいかに人間の幸福を守るべきか。このことを考えていると、自然に、科学技術そのものの性質や、人間の幸福と文化芸術の問題に向かわざるを得なかった」。「人間の幸福は、科学技術によって保証されるものではない」が、「人間の生活を幸福にするための道具として、科学技術、とくにITは今後ますます重要な位置を占めていくことになると思われる」――。 本書「ITが守る、ITを守る」は情報工学者であるとともに、「NHK短歌」の選者を務める歌人でもある坂井修一氏が、「安全・安心な社会を築くために、今後ITはどうあるべきか」を考察した作品である。