年金分割に関する夫婦間の話し合いがまとまったら公正証書を添付して、年金事務所や共済組合に分割を請求する事については、１０月２７日のブログで解説しました。 また夫婦間の話し合いがまとまらず、家庭裁判所で調停や裁判を行った場合には調停調書や判決書などを添付して、年金事務所や共済組合に分割を請求する事については、１０月３０日のブログで解説しました。 しかし重要な事を書き忘れていたので補足しておきますと、平成２０年４月以後しか婚姻期間がなく、その婚姻期間のすべてにおいて妻が夫の被扶養配偶者（第３号被保険者）だった場合、夫婦間で年金分割の話し合いをする必要はなく、離婚後に妻が単独で年金事務所や共済組合に分割を請求すれば、法律で強制的に分割されます。 これを「３号分割」と言いますが、平成１９年４月から実施された「合意分割」の対象となる平成２０年３月以前の期間については、夫婦間で話し合いをして按分割合を

混合診療の禁止とは初診から治療の終了に至る「一連の診療行為」の中に、「保険のきく診療行為」と「保険がきかない診療行為」を、混在させてはならないというルールです。 もし保険がきかない部分の費用を患者から徴収した場合、保険のきく部分も３割負担とならなくなり、治療費の全額が患者の自己負担になります。 しかし患者の医療に対するニーズの多様化や、医療技術の進歩に対応するため、先進医療などの「評価療養」と、特別室への入院などの「選定療養」の２つの分野で、限定的に混合診療が認められるようになりましたが、そこで発生した費用について給付されるのが「保険外併用療養費」です。 （１）評価療養 保険医療機関などで厚生労働大臣が定める、高度の医療技術を用いた療養またはその他の療養であって、療養の給付の対象とすべきか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から、評価を行う事が必要な療養として厚生労働大臣が定め

夫婦間で離婚についての話し合いが合意に達し、離婚届を提出する事により成立するのが「協議離婚」ですが、日本では離婚する夫婦の約９割が協議離婚といわれております。 しかし相手が離婚に応じてくれない、または年金分割を含めた離婚の条件（子供の親権、財産分与、慰謝料など）について合意ができない場合、まずは家庭裁判所に調停を申し立てます。 それは離婚のような家庭内の問題については、すぐに裁判を起こす事ができず、家庭裁判所の調停を経た後でなければならないからですが、これを「調停前置主義」と言います。 もし調停離婚が成立しない場合には審判離婚、裁判離婚（和解離婚）という各段階に進んでいく事になりますが、それぞれの概要は以下のようになっております。 （１）調停離婚 家事審判官（裁判官）と家事調停委員２名で構成される調停委員会が、当時者の言い分を聞きながら、妥当な解決が得られるようにあっせんしますが、このよう

混合診療の禁止とは初診から治療の終了に至る「一連の診療行為」の中に、保険のきく診療行為と保険がきかない診療行為を、混在させてはならないというルールの事です。 もし健康保険の範囲内の診療と、範囲を超えた診療が同時に行われた場合、病院側は範囲を超えた診療に関する費用を、患者から徴収する事はできません。 仮に患者から費用を徴収した場合、一連の診療は「自由診療」とみなされますので、健康保険の範囲内の診療も３割負担でなくなり、治療費の全額が患者の自己負担になります。 ただ混合診療を禁止する明文規定はなく、厚生労働省の解釈と運用によって行われてきましたが、この厚生労働省の解釈と運用の是非を争点とした訴訟の上告審で、最高裁第３小法廷は平成２３年（２０１１年）１０月２５日、混合診療の禁止は適法との初判断を示し、原告患者側の上告を棄却する判決を言い渡しました。 原告の男性は腎臓がんを患い、平成１３年（２００

１０月９日のブログで解説しましたように「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出すると、「年金分割のための情報通知書」が発行されますが、「按分割合の範囲」と書いてある右側の数字内で、夫婦の話し合いにより分割の割合を決めます。 例えば「１５.８３１％を超え、５０％以下」と書いてあったら、第１号改定者（年金を分割する側）と第２号改定者（年金の分割を受ける側）の対象期間標準報酬総額の合算額を、１５.８３２％から５０％の範囲内で第２号改定者に分割します。 夫婦の話し合いにより分割割合が決まったら、「公正証書」または「私署証書（公証人の認証を受ける必要があります）」に話し合いで決まった事をまとめますが、これらには以下の内容を記載する必要があります。 （Ａ）当事者の氏名、生年月日、基礎年金番号 （Ｂ）当時者双方が標準報酬改定請求をする事に合意している旨 （Ｃ）請求すべき按分割合 按分割合は少