京都市内の、ある民宿に泊まった。昔ながらの木造家屋である。宿主の老夫妻は階下で寝起きし、2階の3室を宿泊客向けに開放している。民芸品の収集が趣味なのか、あちこちに小さな置物が置かれている。宿主の生活の息遣いを感じられるのも、民宿ならではの魅力の1つだ。 訪日観光客の増加に伴い、最近は民泊の台頭が著しい。だが、こうした古風な民宿にも外国人観光客が現れるという。特に中国人観光客が関心を向けている。 「こちらにも中国人観光客が泊まりに来ますか?」 女将さんに尋ねてみると、浮かない表情でこう答えた。 「以前は中国からのお客さんも受け入れていたんですがねえ・・・」 この宿では、原則的に知り合いの紹介か、もしくは直接問い合わせてくる観光客を優先して予約を受けている。中国人客の受け入れは、積極的になれないという。 女将さんはその理由をこう語る。 「中国の方は大きなトランクを持ってきはるでしょう。あれが木