政府税制調査会は10日、来年度税制改正に盛り込む相続税の増税案を固めた。遺産から差し引くことができる基礎控除の金額を4割減らして課税対象額を増やすほか、最高税率も50%から55%に引き上げる。相続税の納税者は年間約4.8万人から7万人程度に増加。年間1兆3千億円の相続税収は2千億〜3千億円程度増える見通しだ。 相続税はバブル景気で地価が高騰した1980年代後半から、税負担を緩和しようと減税が繰り返されてきた。今回、「格差是正」の観点から資産家や高所得者により多くの税負担を求める方針に転換する。1958年度に現行の仕組みになって以来、相続税の本格増税は初めてとなる。 相続税は土地や現金など相続財産から、基礎控除となる「5千万円+1千万円×法定相続人数」の合計額を差し引き、それに税率をかけて計算している。例えば、夫が亡くなり、法定相続人が妻と子ども2人の計3人の場合、基礎控除額は8千万円。