「恥辱の塔」。天安門事件の犠牲者を表現している=香港大で2020年7月9日午後0時10分、福岡静哉撮影 天安門事件(1989年6月4日)の犠牲者を追悼する彫像「恥辱の塔」が23日、香港大から撤去された。中国本土では追悼活動ができず、彫像は、事件の記憶を受け継ぐ象徴の一つ。反政府的な言動を禁じる香港国家安全維持法(国安法)の施行によって中国当局の統制が強まり、1国2制度下の香港でも天安門事件について語ることがタブーとなりつつある。 天安門事件では、中国当局が民主化を求める学生らを武力鎮圧し、多くの学生が犠牲になった。中国は学生らの民主化運動を「反革命暴乱」と結論づけている。彫像は犠牲者をイメージして制作され、高さ約8メートルの「人柱」に彫り込まれた一人一人の表情に無念の思いがにじみ出ている。20年以上前からキャンパス内に設置され、学生会メンバーが毎年6月4日に磨き上げていた。