赤茶色の屋根瓦が町を覆い、中世の面影を残すオーストリアの中核都市、グラーツ。世界文化遺産にも登録される古都の外れに“風変わりな”自動車の生産工場がある。 マグナ・シュタイヤーのグラーツ工場――。 トラックに積まれて工場から運び出されるのは、独BMWのSUV(多目的スポーツ車)「X3」や独ダイムラーのメルセデス・ベンツ「Gクラス」、米クライスラーの「300C」、米ゼネラル・モーターズ(GM)の乗用車「サーブ」など。1つの工場が、欧米メーカー4社、8車種の生産を手がけている。 1工場で4社、8車種を生産 シュタイヤーは100年の歴史を持つ完成車の受託工場だ。1998年にカナダに本社を置く自動車部品メーカー、マグナ・インターナショナルが買収した。グラーツ工場の生産能力は最大で年間26万台。「この規模で、これだけ多様なブランドを同時に生産できるのは、世界でもここだけ」とマグナ・シュタイヤーのマーケ