国際エネルギー機関(IEA)が6月に発表した「エネルギー技術展望(ETP)2008」は、二酸化炭素(CO2)の削減に大きく役立つと期待される17技術を取り上げ、各技術の現状分析と、2050年までの技術的な到達目標やコストなどを含んだ、開発から普及までのロードマップを示している。 IEAが報告書で強調しているのは、CO2排出量を2050年までに現状レベルから半減することは技術的には可能だが、政策的な後押しが不可欠という点だ。民間の投資を促すために、CO2に“価値”をつけたり、規制を導入するなど、長期的視野に立った政策が必要だと指摘している。具体的には、革新技術の研究開発に継続的な投資が行われるための政策や長期にわたるインセンティブ、消費者の意識向上や消費行動の変革を促す措置――などだ。 IEAの田中伸男事務局長は記者会見で、「エネルギーインフラの整備は投資額が大きい。政府の長期にわたる安
経済産業省が今年3月に発表した「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」。2050年をターゲットにした長期ビジョンを具体的に推し進めるために21分野の革新技術を選定、分野ごとにロードマップを策定し、さらに国際的な連携のあり方についても方向性を示した。7月7日からの洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を控え、エネルギー分野で世界トップクラスの技術力を誇る日本が、革新的な技術開発を提案してリーダーシップを示そうというものだ。 「2050年半減に向けて、技術革新は重要であるという認識は、もはや世界の潮流になりつつある。すでに、EU(欧州連合)や米国など先進国では、中長期的な技術開発ロードマップ策定の動きが見られる。技術開発は日本がイニシアチブをとれる分野。洞爺湖サミットでは大いにアピールしたい」と、資源エネルギー庁総合政策課エネルギー戦略推進室の小林正孝戦略推進係長は話す。 ■経済産業省が
石炭は、埋蔵量が豊富で分布範囲も広いため、エネルギー資源としては比較的供給が安定しているというメリットがある。しかし、さまざまな鉱物・エネルギー資源と同様、近年は価格が高騰。2007年には1t当たりの一般炭価格が100ドルを突破し、過去に例を見ないほどの高値となっている。それでも、発熱量当たりの価格は、他のエネルギー資源に比べて安価なため、現在も世界で広く利用されている。 しかし、石炭の利用は、環境面で多くの問題を抱えている。 まず、燃焼時に多量の硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、煤塵が発生することだ。日本や欧米などの先進国では、脱硫や脱硝、煤塵除去の設備を設置しているが、多くの途上国では十分な環境対策を講じていないため酸性雨の原因となり、森林が枯れる、湖の酸性度が上がって魚類などの生息に影響を与えるといった現象が発生する。また、NOxやSOx、煤塵による大気汚染は人間にも健
北陸の代表紙。ニュース速報、石川と富山のニュース、コラム「時鐘」を掲載。
環境対応のクリーンエンジンとしてディーゼルが注目されている。日本市場でもディーゼル乗用車の復権に向けた準備が進められており、日産自動車は2008年秋にSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の「エクストレイル」に排気量2リッターのディーゼルを搭載する方針を、早々に表明した。数年後にはディーゼルが乗用車市場でちょっとしたブームを巻き起こすことになろう。 同等出力のガソリンエンジンに比べて、CO2(二酸化炭素)の排出量と燃料消費が2~3割少ないディーゼルは、欧州が本場だ。欧州では乗用車に占めるディーゼル比率は過半数に達している。国によって税制の違いはあるが、燃料の軽油が総じてガソリンより割安なのも人気に拍車をかけている。 日本では1990年代初めのRV(リクレーショナル・ビークル)ブーム時に、オフロード車の多くがディーゼルで占められていた。だが、その後の排ガス規制強化により、90年代半ば
「乾いた雑巾をさらに絞れというようなものだ」 省エネルギーの取り組みが進んでいるとされる日本企業が、さらなる省エネ努力を求められたときによく使う表現だが、事実、日本企業は世界に先駆けて膨大な金額を投資し、省エネ技術の研究開発に血のにじむような努力をしてきた。 「確かに日本企業の省エネは進んでいる。個別企業でできる取り組みは、やり尽くしたと言っていいほどだ」と、財団法人・省エネルギーセンターの大関彰一郎アジア省エネルギー協力センター長は、日本企業の努力を認める。 それを証明するデータがある。世界の主要国のエネルギー効率を比較したものだが、これを見ると、日本の先進性が浮き彫りになる。日本のGDP(国内総生産)当たりのエネルギー消費量を1とした場合、欧州連合(EU)は1.7、米国は2、経済成長が急速に進む中国やインドに至っては8〜9という効率の悪さだ。 ■省エネで世界のトップを走る日本 さま
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