世界最大の穀物生産国である中国がトウモロコシとコメの遺伝子組み替え(GM)品種の安全性を承認した。アナリストの間では、中国は食糧需要が増加するなか、米国に後れを取っていた収量改善で一歩前進したとの見方が広がっている。 中国農務省が4日までにブルームバーグ・ニュースあてに送付した文書によると同省は遺伝子GMのトウモロコシとコメ数品種について生産と消費に関する安全性を認めた。ただ、商業的栽培を行うには別の承認手続きが必要だとしている。 スイスの調査会社SGSによると、今年の中国のトウモロコシ生産量は主要生産地域での干魃(かんばつ)が影響して前年比13%減と予想を上回る減少となり、4年ぶりの低水準を記録した。米コンサルティング会社マッキンゼーは先月、中国が干魃の影響を抑えるために投資を拡大しなければ、同国の長期的な食糧安全保障や社会の安定は脅かされる可能性があるとの見方を示している。 農業
(英エコノミスト誌 2009年11月14日号) 米国の温暖化対策法案の最大の障害となっているのは米国の農村部だ。 来月コペンハーゲンで開かれる気候変動サミットまでに、米国がキャップ・アンド・トレード法案を成立させることはないだろう。その理由を知りたければ、農家に話を聞くといい。 モンタナ州ボーズマン近郊にある数千エーカーの農地で小麦やその他の穀物を作っているブルース・ライトさんを例に挙げよう。ライトさん一家は4世代にわたり、その土地を耕してきた。曾祖父は地元の教会も建立した。 ブルースさんはこの仕事も農村での暮らしも大いに気に入っているが、エネルギー価格の高騰が両方を脅かすのではないかと懸念している。 穀物を育てるためには肥料、燃料、そして農薬が必要不可欠だ――いずれも石油から作られるものである。昨年、原油価格が急騰してピークをつけた時、ライトさんの操業コストは3倍近くに跳ね上がった。原油
13日に届いた農水省のメールマガジン第368号に、山田副大臣のメッセージがあった。驚愕したので、全文引用してしまおう。 ………………………………………………………………………… 懐かしい日本の農漁村集落の風景を再び甦らせたい のどかな朝があった。 母は米のとぎ汁を納屋の牛に飲ませる。少年の私は裏の畑の菜、ヒヨコ 草を集めてきて細かく刻んで鶏の餌をやる。産み落とされた卵を探す。 そのうちに朝餉の味噌汁の匂いがしてくる。 大きな甕から醤油の上澄み液を掬って母に渡す。すべて手作りだった。 いつしか懐かしい日本の農村の風景はなくなった。 米国の農家も変わった。遺伝子組み換えのキングコーンをアンモニアの 液肥を大量に振りまきながら大型のトラクターで耕作を続けている。 できたトウモロコシは不味くて、農家でも自分の作ったものを口にする ことは無いと言う。 農業はおかしくなった。 今や、日本の農業は65歳
インドの農民は、天気の話ばかりしている。5月になると、大地はかまどのように焼けつき、畑はどこも黄色く干からびる。井戸は涸(か)れ、それをあざ笑うように灼熱の太陽が照りつける。そんな時、農民たちが話題にするのが、いつ、どのようにして夏のモンスーンが到来するかということだ。ただ、ことあるごとに話にのぼるわりには、確実性に欠ける話題だ。 モンスーンは例年6月初めにやってきて、それから4カ月弱の間に、この国の年間降水量の4分の3以上に当たる雨を降らせる。農民たちの表現を借りれば、モンスーンは“最初はシカのようにやさしく始まり、やがて怒りくるったゾウになる”という。ただし、ゾウで始まってシカになることもあるし、“ニワトリのように”先の読めない困った降り方をすることもある。要するに、誰にも予測できないのだ。それでも誰もがモンスーンを話題にせずにいられない。 2008年5月中旬、インド西部の大都市、ムン
スーダン・東赤道(East Equatoria)州のLobira Boma村で、赤ちゃんに授乳しようと試みる女性(2009年10月2日撮影)。(c)AFP/ASHRAF SHAZLY 【10月12日 AFP】いまだ内戦の痛手からの回復途上にあるスーダン南部の農村地域では現在、初夏の深刻な干ばつが原因で作物が育たず、百万人以上が草を食べて飢えをしのぐ状況に陥っている。 東赤道(East Equatoria)州のLobira Boma村で、Latuka族の女性が食べ方を見せてくれた。すり鉢代わりの石のくぼみで草をすりつぶし、細かい粉にする。「これをこうやって水に浸して、それから食べるんだ。毎日これを食べているよ」 この地方では、農民はソルガム(モロコシ)や雑穀、ピーナツなどを育てているが、これらの作物の栽培はなによりも雨が頼りだ。今年は5~6月の大干ばつで作物がほぼ全滅してしまった。「収穫がな
Financial Times サーモンピンクの紙面で知られる英国の高級紙。1888 年の創刊以来、金融関連の報道に強く、経済、国際、政治問題についても報道の正確さに定評がある。世界発行部数は約44万部。読者総数は推定150万人に上る。 世界の金融市場が混迷を極め、経済の先行きに不透明感が増している。このコラムでは、金融、経済報道で突出した信頼性を誇る英フィナンシャル・タイムズ紙の記事をタイムリーに翻訳し、毎日1本お届けする。 >>「Financial Times」の記事一覧 (2009年10月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) インドのガンジス川沿いに、マヘシクントという村がある。インド北部の平原をゆったりと蛇行する大河ガンジスの恵みを受ける数千の集落の中の、何の変哲もない1つの村だ。 「インドには2つの国が同居している」 インドの大都市のきらびやかで奇跡的な経済発展から遠く
異国の名産地で紅茶作りを経験した女性が目にした沖縄の赤土。痩せた土壌は紅茶栽培の適地と信じ、6万本の苗木を植えた。高級紅茶として欧州、アジアから注目を集めつつある。 桐の箱を開けると高級和紙で包まれた袋が顔をのぞかせた。「国産茶葉100%ですよ」。沖縄ティーファクトリーの内田智子社長はその茶葉でいれた紅茶を自信たっぷりに注いでくれた。 9月上旬、大手百貨店の伊勢丹はこの紅茶を100g換算で1万円を超える値段で発売する。インドやスリランカなどの有名な産地でも100g3000円がいいところ。「琉球紅茶~月夜のかほり」の名でデビューを飾る。 沖縄県中部のうるま市に本社を置く同社の取り組みをきっかけに、今沖縄が紅茶産地として注目されつつある。国内だけではない。香港の大手百貨店や中国の紅茶バイヤーからは「いつなら在庫があるのか」と問い合わせが相次ぐ。 欧州で紅茶通の間に広がりつつある「ニューフロンテ
(2009年9月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 90歳近いドン・ルイス・パパローニさんは、ベネズエラのコーヒー生産の全盛期の思い出を振り返ると悲しくなる。 「あの丘陵が見えますか?」 彼はアンデス山脈の麓にある美しい町サンタ・クルス・デ・モラを取り囲む青く茂った渓谷を指して、こう問いかける。「昔はこの一帯がすべてコーヒー農場だった。今はもう、ほとんどありません」 20世紀初頭には、ベネズエラは世界最大級のコーヒー輸出国だった。だが今年8月には、供給不足への懸念から、初めてコーヒーをブラジルから輸入することを余儀なくされた。ベネズエラの人々は、輸入品は地元で作るアラビカ豆の質とは比べ物にならないと言う。 消えていったコーヒープランテーション 「私が若かった頃は、この町でコーヒーと何も関係がない家は一軒もなかった。コーヒーは私たちの文化の中心にあった」とパパローニさんは言う。
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(英エコノミスト誌 2009年8月22日号) 古代からの呪いがインドを襲う インド北部ウッタルプラディッシュ州の農婦シャルミーラ・シャルマさんは、義理の姉妹3人と水牛6頭とともにニームの樹の大きな木陰でぶらぶらしている。1エーカー(0.4ヘクタール)余りある農地から彼女らを遠ざけているのは酷熱ではない。インドの大半の農家と同様、シャルマ一家も潅漑施設を利用することができないのだ。 彼女たちにとって6月から9月にかけて降るモンスーンの雨は頼みの綱だ。だが今年はその雨が降らない。「雨が降らなければ、どうしようもない」。シャルミーラさんは緋色のサリーの端でハエを払いながら、こう語る。 モンスーンの雨に依存する農家 一家は主要な農作物であるソルガムの植え付けができずにいるうえ、水牛も「病気」になりかかっている――飢えの婉曲表現――という。 インドは今年、ここ何年もなかった最悪のモンスー
インド・アムリツァル(Amritsar)で雨の中人力車をこぐ男性(2009年7月24日撮影)。(c)AFP/NARINDER NANU 【7月25日 AFP】インド政府は24日、モンスーン期の降雨が少なく稲作に影響が出ているとして、食糧不足を回避するため食糧の輸出を禁止すると発表した。 シャラド・パワル(Sharad Pawar)農相は議会での農業生産に関する議論で、6-9月のモンスーン期の雨量が全国で不足しており、主要農業州である北部のパンジャブ(Punjab)州やハリヤナ(Haryana)で田植えが遅れていると述べた。降水量は前年と比べて全国で19%、北西部で38%、北東部で43%少なくなっている。 同国の耕作可能な1億4000万ヘクタールの土地の60%が水源を雨に頼っているため、モンスーン期の雨量は死活問題だ。 インドでは依然、11億人の国民の3分の2近くが農業で生計を立てており、農
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