熊本地震で被災した熊本県の第三セクター「南阿蘇鉄道(南鉄)」は3日、全線復旧に向けた工事の着工式を南阿蘇村で開いた。全線17・7キロのうち、橋やトンネルが被害を受けて不通となっている立野(南阿蘇村)-中松(同)の10・5キロの復旧工事に着手し、2022年度の全線再開を目指す。 南鉄は地震後に全線が運休し、16年7月から中松-高森(高森町)の7・2キロで部分運行を続けている。不通区間では犀角山(さいかくやま)トンネルの撤去などを予定し、全線復旧費は65億~70億円の見込み。地元の要望を受け、国が災害復旧事業費の補助率を引き上げる形で実質97・5%を負担することになった。 着工式で南鉄社長の草村大成・高森町長は「地域住民の利便性を高め、インバウンド(訪日外国人客)に寄与する鉄道にしたい」とあいさつ。秋本真利・国土交通政務官は「地元負担を極力少なくする特別な制度を創設して強力に支援したい」と述べ