耳の不自由な学生の学習機会確保などで前駆的な取り組みを進めている群馬大学が今年度から、学術手話通訳の育成強化とともに、新規事業として聴覚と視覚の両方に障害のある人や知的障害など複数の障害を併せ持つ人を支援する人材の養成を始めた。手話通訳技術を取得した学生が、さらに進んだ障害者支援の技術を身につけられるとして注目されている。【鈴木敦子】 新規事業を進める一人として、今年1月、これまで事業の客員教授だった中野聡子さんが准教授として着任した。耳の不自由な中野さんは、手話言語の認知・言語発達の研究で国内聴覚障害者初の博士号取得者でもある。米国留学時代、聴覚障害者も研究者として活躍できる状況を目の当たりにした。日本では大学などの高等教育機関で手話通訳の支援態勢が不十分で、学術的な内容の手話に対応できる手話通訳者も少ない状況だ。中野さんは…