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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (50)

  • 「古典は本当に必要なのか」討論会

    「社会に出たら三角関数なんて使わない」とか、「漢文は仕事の役に立たない」という議論が、ネットで繰り返されている。わたしの中では結論がついており、以下の寸言に集約されている。 「人生で必要なことは教科書に書かれてない」っていう奴、それお前が教科書ちゃんと読んでこなかっただけだろ(tumblrより) 他人のアラ探しをしてる間は自分の姿を見なくて済む(三島由紀夫) つまり、「〇〇が役に立たない」という人は、〇〇を使わない人生を選んできただけであって、それ以上でも以下でもない。あるいは、〇〇が理解できない貧しい想像力の持ち主か。それでいて、〇〇を貶めている間は自分の浅学を見なくて済む。 ただし、これをリアルでやると面白い。それぞれの学問やビジネスの第一線にいるにもかかわらず、わざわざ出てくるのはすごい。専門を極めていれば自ずと知的な謙虚さが身につく―――というのはわたしの思い込みで、他の学問領域が

    「古典は本当に必要なのか」討論会
    fumirui
    fumirui 2019/01/10
  • この本がスゴい!2018: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    まとめ すごく長くなったので、まとめる。まず、今年のベスト。 このがスゴい!2018のラインナップ。 このがスゴい!2018の一覧は以下の通り。 ◆フィクション 『ランドスケープと夏の定理』高島雄哉(東京創元社) 『舞踏会へ向かう三人の農夫』リチャード・パワーズ(河出書房新社) 『寿司 虚空編』小林銅蟲(三才ブックス) 『直線』ディック・フランシス(ハヤカワ文庫) 『ブッチャーズ・クロッシング』ジョン・ウィリアムズ(作品社) 『槿』古井由吉(講談社文芸文庫) 『平家物語』古川日出男(河出書房新社) ◆ノンフィクション 『知の果てへの旅』マーカス デュ・ソートイ(新潮クレスト・ブックス) 『愛とか正義とか』平尾昌宏(萌書房) 『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』吉川浩満(河出書房新社) 『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』ふろむだ(ダイヤモンド社) 『文学

    この本がスゴい!2018: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
    fumirui
    fumirui 2018/12/02
  • よいアニメで、よい人生を『人生を変えるアニメ』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    涙も笑いもときめきも、人生に必要な感情はアニメが教えてくれる。 べつにドラマティックに変わらなくてもいい。『ゆるキャン』観てこの冬、キャンプデビューするのもありだし、『弱ペダ』でロード買っちゃうのも変化だ。ヘコんだ気分がOPだけでUPするのもアニメの力、人生をいい風に押してくれるのは有難い。 『人生を変えるアニメ』には、そんなアニメが並んでいる。アニメ監督や声優、小説家、評論家などが、年代ジャンル問わず、気でお勧めしてくるアニメガイドなり。 書は「14歳の世渡り術」シリーズの一冊で、中高生に向けて「知ることは、生き延びること」というメッセージ性が込められている。『風の谷のナウシカ』『母をたずねて三千里』といった古い作品から、現在放映中の最新作も入り混じっているので、わたしが読むと「あるある!」「見た見た!」「見たい見たい!」とうなづくばかりの読書となる。 この世界の片隅に たとえば、斎

    よいアニメで、よい人生を『人生を変えるアニメ』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
  • 最新のアメリカの「世界文学全集」に見る日本文学: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    世界文学全集を編むとき、そこに時代や地域による自動的な選別が行われる。編者の価値観や願望が反映されたものになる。 日における「世界文学全集」では、池澤夏樹が編んだ河出書房版が新しいが、たとえばその『短篇コレクションI』だと、南米や中東、中国と沖縄など、非ヨーロッパから選ばれており、地域性フィルターが働いていることが分かる。非欧州でも(だからこそ?)こんなにも豊かな技法と発想に恵まれていることが、この一冊で分かるようになっている。 また、丸谷才一、鹿島茂、三浦雅士の鼎談をまとめた『文学全集を立ちあげる』では、いわゆるカノン(正典)を示し、(読むにも書くにも)文学の技法を拡張する100冊が紹介される。面白いのは、日であれ世界であれ、村上春樹の作品を執拗に全集から外そうとしているところ。日の評論家では評価できないのであれば、むしろ世界文学全集に入れるのがふさわしかろうに。 反対に、海外では

    最新のアメリカの「世界文学全集」に見る日本文学: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
    fumirui
    fumirui 2018/09/24
  • 『舞踏会へ向かう三人の農夫』はスゴ本

    「スゴ=すごい」とは、読む前と読んだ後で、自分自身が更新されることである。世界を見る目がアップデートされ、同じだったはずのものが、まるで別の存在になる。「当の旅の発見は新しい風景をみることではなく、新しい目をもつことにある」とプルーストは言ったが、この傑作を読むことこそが旅であり新しい目を持つことである。 純粋に小説を読む悦びと、全く新しい経験をくぐる濃密さ、そして世界と一体化するというある種の恐怖を味わう。知ることは関わりあいになることであり、すなわち、世界と自分を再定義する行為なのだ。 この小説の面白さ=立体視 この凄さ、伝えるのは難しい。 3つのストーリーラインが互いに絡み合い混ざり合い、微妙に重なり/ズレながら浮かび上がる立体感や、ウロボロスの蛇のように一つのナラティブが物語を呑み込む再帰性、さらには、読むという行為のなかで自分を書き換えていく双方向的な感覚など、どれか一つで

    『舞踏会へ向かう三人の農夫』はスゴ本
    fumirui
    fumirui 2018/08/17
  • 世界は不公平である『My Room 天井から覗く世界のリアル』

    世界は不公平である。金持ちと貧乏人がいて、美形とそうでない人がいて、幸せな人と不幸せな人がいる。そんなことは分かっている。そんなことは分かっているが、これほど如実に見せつける視点が新しい。 55ヵ国1200人のベッドルームを、天井から並べた景色は、今の世界のサンプルそのもの。民族や文化だけでなく、その部屋の主の生い立ちやライフスタイル、思想までをも垣間見ることができる。 どの部屋にも共通するのは2つ。ひとつは、天井を見上げている笑顔、もう一つは、自分の宝物を広げているところ。天井を見つめるのは、18歳から30歳の男女で、その若者がいまいる状況、何を望んでおり、どうしたいかといった身の上話を語ってくれる。 たとえば、アメリカ合衆国ダラスの「銃のコレクションがある部屋」。ベッドの上には、拳銃やショットガン、アサルトライフル、防弾チョッキ(?)が並んでいる。銃社会アメリカを象徴するかのような部屋

    世界は不公平である『My Room 天井から覗く世界のリアル』
  • アストロバイオロジーへの招待 『生命の起源はどこまでわかったか』

    常識とされてきたことが誤りだったということは沢山ある。面白いのは「なぜそれを【正しい】と信じてきたか」を考えるときだ。その【正しさ】は、一種の文化的バイアスとも呼ぶべき認知の歪みに支えられていると睨んでいる。 ①たとえば天動説。地球は宇宙の中心で静止しており、全ての天体が地球の周りを公転しているとする仮説である。現代に生きる人が天動説に触れる時、たいていガリレオとセットで学ぶため、地動説への過渡期に生きた人ほどピンとこないかもしれない。 ②地球という惑星に目を向けてもいい。かつては、生物が存続できる程度の充分な水をたたえる「奇跡の惑星」であり、このような星が他にある可能性は、ほぼゼロだと考えられていた。だが、天文観測技術の発達により、似たような惑星がそこらじゅうにあることが分かってきた[“奇跡の惑星”から、ありふれた奇跡へ『系外惑星と太陽系』]。 ③あるいは、進化のヒエラルキーなんてどうだ

    アストロバイオロジーへの招待 『生命の起源はどこまでわかったか』
  • 危険な読書: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    読書は毒書だ。読前読後で変わらないなら、読む意味がない。ヒマつぶしなら、もっと有用なのがあるだろ? わざわざ時間とアタマ使うくらいだから、響いたり刺さったりしないと。 BRUTUS「危険な読書」の特集を読んだ。イイのを選んでいるライターさんもいるのだが、全体的にぬるい。というか甘い。わずかに夏目房之介・島田一志の対談と、町田康のインタビューが良い感じで、あとは表紙のいかがわしさに値しない狗肉が並んでいる。ファッション誌である所以、読書を「ファッション」として見なすビギナー向けなのかも。 もっと「読んだことを後悔するような劇薬小説」とか、「世界観を絨毯爆撃するようなマンガ」とか無いの? 一読したら、二度と立ち直れないような作品が欲しいのに。カフカは言った。どんなでも、僕たちの内の凍った海を砕く斧でなければならないと。当に「危険な読書」とは、脳天への一撃となるなのだ。 ここでは、そんな「

    危険な読書: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
  • この本がスゴい!2017

    人生は短いのに、読みたいは多すぎる。 生きてる時間ぜんぶを費やしても読みきれないを抱え、それでも新しいに手を伸ばそうとする愚者とはわたしだ。ただ「新しい」というだけで、何がしかの価値があると思い込み、財布をはたく。エラい人が誉めてたという理由だけで、読むべきだと思い込み、脊髄反射する。そして読まない。「あとで読む」とレッテルを貼って、あとで読まない。 かくして積読山は高くなる。 かつてはに囲まれた生活を何やら高尚なものだと考えて、「に埋もれて死にたい」などとつぶやいたことがあるが、恥ずかしい。救いようのない馬鹿とはわたしだ。読書趣味であり代謝であり経験だ。その候補だけを増やしても、何も、なにも変わっていない(ボクは沢山のを持っているという自意識を除いて)。 そんな山から発掘し、紹介してきたスゴ(凄い)のなかから選りすぐりをご紹介しよう。わたしの趣味と代謝と経験に照らし

    この本がスゴい!2017
  • 『神は数学者か』はスゴ本

    九九の9の段を眺めていて、ささやかな「発見」をしたことがある。一の位と十の位の数を足すと9になる。九九に限らず、9の倍数の各桁の数の合計は、必ず9になるのだ。 9,18,27,36,45,54,63,72,81,90,99,108,…… 気づいたときには驚いたが、何のことはない。 「9の倍数」とは、「9を加えた数」のこと。そして「9を加える」ことは、「10を加えて1を引く」、つまり「上の桁の数に1を加え、元の桁の数から1を引く」操作にほかならない。元の数が9から始まるから、「上の桁の数に1を加え、元の桁の数から1を引く」操作を繰り返しても各桁の合計は「9+1-1」になる。これは、9という数が、桁上がりする一つ手前の数という性質を持つから。2進数なら1、16進数ならF、n進数ならn-1に割り当てられた数が相当する。 一方、たまたま数え方が10進数だから、9の性質がそうなっているとも言える。な

    『神は数学者か』はスゴ本
    fumirui
    fumirui 2017/11/17
  • 『虚数の情緒』はスゴ本

    一言なら鈍器。二言なら前代未聞の独学書。中学の数学レベルから、電卓を片手に、虚数を軸として世界をどこまで知ることができるかを追求した一冊。 「スゴ」とは凄いのこと。知識や見解のみならず、思考や人生をアップデートするような凄いを指す。ページは1000を超え、重さは1kgを超え、中味は数学物理学文学哲学野球と多岐に渡る。中高生のとき出合っていたら、間違いなく人生を変えるスゴになっていただろう。 ざっと見渡しても、自然数、整数、小数、有理数と無理数、無理数、素数、虚数、複素数、三角関数、指数、関数と方程式、確率、微分と積分、オイラーの公式、力学、振動、電磁気学、サイクロイド、フーリエ級数、フーコーの振り子、波動方程式、マックスウェルの方程式、シュレーディンガー方程式、相対性理論、量子力学、場の量子論を展開し、文学、音楽、天文学、哲学、野球に応用する、膨大な知識と情熱が、みっちり詰め込まれ

    『虚数の情緒』はスゴ本
  • トップランナーの図書館活用術『才能を引き出した情報空間』

    すごい人が、どんな風に図書館と付き合っているか(付き合ってきたか)が分かるインタビュー集。 結城浩さんの『数学ガール』、荻上チキさんの『シノドス』、ビブリオバトルの谷口忠大さん...... その仕事の「結果」は知られているが、各人が「どのように」その仕事に取り組んできたか、結果から知るのは難しい。実は、そこには図書館というシステムが深くかかわっている。書では、こうしたトップランナーたちが、図書館でどのように鍛えられてきたか、さらに、この情報空間に何を求めているかが、語り尽くされている。インタビューイーは以下の通り(敬称略、掲載順)。 落合陽一 清水亮 前野ウルド浩太郎 三上延 竹内洋 谷口忠大 結城浩 荻上チキ 大久保ゆう 大場利康 花井裕一郎 原田隆史 インタビュアーは図書館情報学の専門家なので、この情報空間をいかに利用するかというテーマが中心となっている。だが、図書館とのかかわり方を

    トップランナーの図書館活用術『才能を引き出した情報空間』
  • 食う寝る殺す『性食考』

    べること、セックスすること、殺すこと。これらは独立しているのではなく、互いに交わり重なり合っている。「べちゃいたいほど、愛してる」という台詞を起点に、古事記と神話、祭りと儀礼、人類学と民俗学と文学を横断しながら、人の欲の深淵を覗き見る。ぞくぞくするほど面白い。 著者は民俗学者。引き出しを沢山もっており、バタイユやレヴィ=ストロース、デズモンド・モリスや柳田國男などを次々と引きながら、性とにまつわるさまざまな観点を示してくれる。おかげで、わたしの引き出しも次々と開かれることとなり、読めば読むほど思い出す読書と相成った。 たとえば、入口の「べちゃいたいほど、愛してる」は、センダック『かいじゅうたちのいるところ』から引いてくる。いたずら小僧のマックスが、罰として寝室へ追いやられるところから始まる夢と空想と「かいじゅうたち」の物語。その愛のメッセージを引いてくる。 「おねがい、いかないで。

    食う寝る殺す『性食考』
  • 『土木と文明』はスゴ本

    土木から見た人類史。めちゃくちゃ面白い。 土木工学とその影響という切り口で世界史を概観する。テーマは、都市、道路、橋、堤防、上下水道、港湾、鉄道などに渡り、テーマごとに豊富な事例で紹介する。土木技術の発展なしには文明も発達せず、また文明の発展につれて土木技術も発達してきた。そうした土木工学と文明の関わりを歴史的に串刺しで見ることができる。 大きなものから小さなものまで、人が手がけてきた土木事業は、それこそ星の数ほどある。それをどうやって整理するか。書は、そのとき直面した問題(治水、防衛、流通、疫病対策等)と、利用できるリソース(人・技術・時間)、そして成し遂げられた結果(土木事業)という観点で整理しているのが素晴らしい。 面白いことに、問題と対策という視点で眺めると、時代や地域を超えた普遍性が現れてくる。異なる時代・地域の人々が、それぞれに知恵を絞り、そのときに手に入るリソースを駆使した

    『土木と文明』はスゴ本
  • 生命をメタレベルで考える『生物圏の形而上学』

    これは面白かった。『生物圏の形而上学』は触媒となった一冊なり。 ノンフィクションには、新たな知見を得られるものと、自らの知見と化学反応を起こすものがある。書は後者寄り。「生命とは何か」について、より根源的でメタ的な視点より捉え直し、わたしの思考の倍率を上げ、妄想を煽り立て、アイディアの触媒となった。 読みながら思い出したのは、街灯の下でカギを探すジョーク。深夜、街灯の下でウロウロしている男がいる。カギを探しているという。一緒に探してみるが見つからない。当にここで失くしたのかと聞くと、「いや、失くしたのは向こうの暗がりです。あそこは暗くて見えないので、明るい所で探しているのです」というやつ。真に重要なところではなく、定式化できるモデルに固執する経済学を揶揄するために使われるジョークである。 だがこのジョーク、「生命の起源は地球にある」と主張する一部の生物学者にも適用できそうで楽しい。とい

    生命をメタレベルで考える『生物圏の形而上学』
  • 東大の科学がスゴい『科学の技法』

    東大の理系は、一年生から「科学の技法」を叩き込まれる。 『知的複眼思考法』を読んだとき、批判的に読み・考えるトレーニングを徹底させる東大の文系が羨ましいと思った。『科学の技法』を読んだいま、科学の技法をゼミナール形式で学べる東大の理系が羨ましい。 東大で始まった新しい試み「初年次ゼミナール理科」が凄い。 理系の一年生は全員必修で、1クラス20名の少人数を、教師+TA(ティーチングアシスタント)できめ細やかに指導する。学術的な体験(アカデミック体験)を通じて、サイエンティフィック・スキル(科学の技法)を修得することを目的としている。 この科学の技法が羨ましい。前半が「基礎編」で、あらゆる研究をする上で基礎的となるだけでなく、仕事にも必須なスキルが紹介されている。後半が「実践編・発展編」で、研究チームを意識できるようなゼミを「ラボ」として開講し、そこで基礎的な演習を行う(垂涎だらけなり)。 ◆

    東大の科学がスゴい『科学の技法』
  • 『タンパク質の一生』はスゴ本

    物質がいかに生物になるか、その精妙なプロセスを垣間見ることができるスゴ。 ヒトの体には、60兆個の細胞があり、それぞれ80億個のタンパク質を持っているという。書は、細胞というミクロコスモスで繰り広げられるタンパク質の、誕生から死までを追いかけると共に、品質管理や輸送のメカニズム、プリオン病やアルツハイマー病といった構造異変による病態を紹介する。今までバラバラだった知識がつながるとともに、既知で未知を理解することができて嬉しくなる。 いちばん大きな収穫は、DNAの遺伝情報から複雑なタンパク質ができあがる仕組みを知ることができたことだ。タンパク質を構成する要素は、アミノ酸だ。アミノ酸は、アミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)を持った化合物で、わずか20種類でタンパク質を構成している。 では、どうやってアミノ酸を並べることで複雑な機能を持つタンパク質ができあがるか? 書を読むま

    『タンパク質の一生』はスゴ本
  • 数学とは言語である『脳はいかにして数学を生みだすのか』

    数学とは何か? もとは数の学問として始まったが、数論や幾何学を超えて、構造(群論)や空間(フラクタル幾何)、変化(カオス理論)まで広がっており、答えるのは容易ではない。 キース・デブリンの言葉を借りると、「数学はパターンの科学」あるいは「秩序、パターン、構造、論理的関係性の科学」になる。抽象化された対象のパターンに対し、定義と公理と論理を用いることにより、真理を確立する営みになる。この考えだと、流体力学や数理経済学ゲーム理論といった応用数学まで拡張できる。数学は科学の女王という理由はここにある。 そして、数学がどこから来たのか? 数学を生み出しているものは何か? と考えると、もっと面白くなる。書は、fMRIやPETによる脳研究から得られた知見を元に、脳の各部位における数理機能を還元的なアプローチで説明する。著者は理論物理学者の武田暁氏で、『脳はいかにして○○を生み出すのか』という問いか

    数学とは言語である『脳はいかにして数学を生みだすのか』
  • 科学の面白さ・楽しさを伝える100冊 「科学道100冊」

    科学の面白さ・素晴らしさを届ける企画として、「科学道100冊」が公開されている。これは、科学者の生き方や考え方を伝えるために、100冊のが選ばれている。 ミソは「いわゆる理系」に閉じないところ。もちろん分野ごとの啓蒙書もあるが、「世界の見え方の変遷」を鳥瞰する科学史、センス・オブ・ワンダーを喚起する小説漫画、知的好奇心を刺激する図鑑など、いろいろ揃えている。 例えば、ディックの電気羊やパワーズ『オルフェオ』が「科学の」として並んでいる。これ、選者のメッセージが込められているんだろう誰だろうと見たら、編集工学研究所だった。松岡正剛さんの名前を前面にしてないのは、硬すぎず深すぎずが意図されているのだろう。 この100冊からいくつか選んでみた。さいきん微生物にハマっているわたしとしては、そっち系を入れて欲しかったが、ないものねだりかも。 生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問について

    科学の面白さ・楽しさを伝える100冊 「科学道100冊」
    fumirui
    fumirui 2017/01/30
  • 読み始めたら最後、あなたを絶対寝かせない徹夜小説まとめ

    読み始めたら、徹夜を覚悟する小説がある。 いきなり心臓をワシ掴みにされたり、直感が大好物だと告げたり、いくらも読まないのに、「これは当たりだ!」と小躍りしたくなる。 嬉しいことに、この予感は高確率で当たる。だが恐ろしいことに、それは高確率で平日の夜だったりする。ここでは、翌日の寝不足を犠牲にして掘り当てた、「徹夜保証の小説=徹夜小説」を紹介する。 ただし、2つだけ約束してほしい。ひとつめ、複数巻に渡るものは、全巻そろえてから読み始めること。上巻だけ買えばいいなんて甘く見てると、サクっと読みきってしまい、翌朝まで禁断症状に苦しむことになるだろう。ふたつめ、明日の予定がない夜に読み始めること。さもなくば、寝不足の頭を抱える破目になるだろう。2つとも経験したから言える、読み始めたら最後、絶対寝かせてくれない。だから約束だぞ。 『ガダラの豚』中島らも 2ちゃんねらが絶賛してたので、うっかり手にして

    読み始めたら最後、あなたを絶対寝かせない徹夜小説まとめ
    fumirui
    fumirui 2017/01/26