The Polaris Dawn crew is back on Earth after a historic mission
ドイツには豚の生食文化がある。もちろん生肉を食べる習慣は世界各地に見られ、例えばフランスではタルタルステーキといって生の牛肉をみじん切りにして薬味などを混ぜて食べる料理があるし、エチオピアではぶつ切り牛肉をそのまま食べる文化もある。 しかし豚肉の生食はなかなかお目にかかれない。 このドイツの豚肉料理は「メット」と呼ばれている。メットとは脂肪分を含まない豚の挽肉のことで、これをパンに塗り、みじん切りしたタマネギやパセリに塩コショウを振りかけて食すものだ。一体どんな味なのか。実際に食べてみた。 ドイツ、デュッセルドルフ市内にあるビアホールの名店「シューマッハ」。 ここでその「メット」を注文してみた。直径10cmを越えるくらいのパンの上に約2cmの厚さでメットが塗られている。値段は2.2ユーロ(約280円)。生肉といっても挽肉なので、食べる際に噛みにくさのようなものものない。お好みで塩コショウを
幕末から明治にかけて活躍した月岡芳年(読み:つきおかよしとし)。彼が晩年に描いた連作 『月百姿』。歴史の有名なシーンと月を絡めたりした作品なのですが、その構図センスと自由自在な表現力はまるで古さを感じさせません。 圧倒的な浮遊感!牛若丸@五条橋 『五条橋の月』(1888年) 月岡芳年 独特のポーズで軽やかに舞う牛若丸こと源義経。その背後で光る月。場所は五条橋。弁慶との出会いの場所です。 孫悟空と月のウサギ 『玉兎 孫悟空』(1886年) 月岡芳年 月の宮殿から逃げ出した妖魔と孫悟空の戦い。怪物化していた妖魔を孫悟空は見事撃退。元の月のウサギに戻され、逃げ帰っているところです。 風に舞う手紙 『月のものくるひ 文ひろけ』(1889年) 月岡芳年 豊臣秀吉の女中・おちよ。ある日受け取った手紙で恋人の死を知ります。おちよは悲しみのあまり気が触れてしまい、その手紙を身体に巻き付けたりしながら、死ぬ
シンポジウムの感想は以前書きました。 日本語学会2012年度春期大会シンポジウム「グローバル市民社会の日本語学」雑感 - 思索の海 このシンポジウムの報告という形で出ているのではなく、雑誌『日本語学』2012年11月号の特集「人生のための言語学」に収録されていて、わかりにくくというか気付きにくくなっています。 雑誌『日本語学』 2012年11月号 - 明治書院 ただ、雑誌『日本語学』に掲載されているということもあって、専門家でなくてもそれなりに読める内容になっているのではないかと思います。「日本語の正しさ」や「外来語言い換え」、国語教育など一般的にも関心の高いテーマを扱っていますので、ざっとでも見てみると面白いのではないでしょうか。 本当は書店に並んでいる時期に紹介できれば良かったのですが気付くのが遅れました。すみません。 目次紹介 レビューするとなるとまた紹介が遅れてしまいますので、目次
小売店のチラシを分析する「チラシレポート」(東京)によると「ネピア ネピネピティシュ」など、スーパーのチラシに載った四種類のティッシュ(五箱)の平均の特売価格は三月末、百九十四円前後だった。これが六月上旬には二百十円前後に上昇。同様に二百八十六~二百九十六円だったトイレットペーパー(十二ロール)も二百九十一~三百十七円にじわりと上がった。 消費者に忍び寄るティッシュペーパーの「裏値上げ」。特売価格を五月から引き上げた大手スーパーの担当者は「消費者に迷惑を掛けないよう、通常価格は据え置いて特売価格だけを少しずつ上げている」と話す。別のスーパーは三月以降、特売自体を見送っている。広報担当者は「特売はプライベートブランド(自主企画)でしかやっていない」と明かした。 家庭紙の安値販売が減った背景には、パルプや木材チップの輸入価格上昇で製紙メーカーが四月以降、小売りに取引価格の10~15%引き上げを
「RGBとCMYK」について、Flashアニメーションを用いてわかりやすく解説致します。
みなさま、ごぶさたしております。 「とりあえず最終回」から2年8か月、今も多くのアクセスを頂いていることに、たいへんに感謝しています。 「いいね」や「ペタ」を付けてくださった皆さま、ブログ、Twitter、Facebookなどでこのブログを紹介してくださった皆さま、まことにありがとうございました。 さて、長らく販売を休止しておりました『グラフィックデザイン用語英和辞典』ですが、発売から約3年が経過したこともあり、本日よりPDFを無料で配布させていただくことにいたしました。 有料でお買い上げいただいた皆さま、申し訳ありません……。 以下のサイトからダウンロードできます。 http://www.fishtailstudio.com/pages/gd.html https://fishtailstudio.com/dictionary/ 【2020年1月 追記】ダウンロード先のURLが変わりまし
フォントブログ閉鎖と一部記事の移管について 平素はフォントブログをご覧いただき誠にありがとうございます。 数年前よりブログの更新を中止したまま、諸般の事情で過去の記事は公開をしていましたが、 時代に合わない内容や、すでに古い情報をこのまま残しておくのは良くないと考え、 フォントブログを閉鎖することにいたしました。 これまでお世話になった方々、私に様々な機会を与えてくださった方々、 そして約25年間に当ブログをご覧いただいた方々に心より感謝いたします。 私自身2014年に関東から地元へUターンをし、 書体デザイナーやフォントメーカーの方、文字関係者の方と直接お会いする機会が減ってしまったこと、 また私自身の環境の変化により、以前のように情報収集をする時間の確保が難しくなってしまいました。 フォント好きとして初心に帰り、過去の一部の記事は順次個人サイト (PETITBOYS) のブログのほうへ
凸版印刷は、電子出版向け新書体の開発に着手したと発表した。まず同社の「凸版明朝体」をもとにした本文用明朝体を今秋から提供。「凸版ゴシック体」がベースの本文用ゴシック体や、見出し用、欧文など2016年までに計5書体の提供開始を目指す。 本文用明朝体は、従来の印刷用書体が印刷工程による文字の太り(つぶれ)などを想定して細身に設計されていのに対し、電子端末での表示では太りがないことを考慮し、線の太さをデザインし直すという。また長文を縦組で表現した場合に最大の読み心地が得られるよう、デザインを改良するとしている。 関連記事 凸版、電子出版用のオリジナルフォント開発へ 電子出版コンテンツを読みやすくする新書体の開発に凸版が着手。2016年春までに5書体の提供を目指している。 0.75ミリ角・世界一小さい本、凸版印刷が製作に成功、販売も 0.75ミリ角と世界で一番小さい本「四季の草花」を凸版印刷が製作
所沢航空発祥記念館で、2013年6月22日から9月1日まで堀越二郎 生誕110周年記念企画展が開催される(埼玉新聞)。 2005年に堀越技師の遺族が、屋根裏部屋に密かに保管されていた「零戦の後継機」の設計図を含む往時の設計資料を藤岡市に寄贈していたとのことで、これが公開される模様。堀越二郎氏没後20年以上過ぎての寄贈、そして30年経った今公開という事に驚きを隠せない。 敗戦時に軍部から、そしてGHQの航空禁止令と少なくとも二回は廃却や没収の命令が出ていたはず。その禁書をずっと保管し続けていたという事実に大変驚いた。しかも生前には公開する意志はなかったのではないかと思われる、見つかればタダでは済まないであろうこの資料を堀越氏はどんな想いで保管してきたのだろうか? 開発者としての誇りあるいは執念といったものだったのだろうか? 7月中旬には堀越二郎をモデルにしたスタジオジブリの映画「風立ちぬ」が
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「記憶をめぐる情報戦」 本作は、作者の父親のシベリア抑留についての語りに基づいて構成されたマンガ作品である。50万人とも言われる日本人が抑留され、多数の死者を出したこのできごとについては、おそらくその重大さと比べると、体験者の手記なども一定数刊行されているにも関わらず、人々の話題に上ることが少ないのではないだろうか。 その点で本作は、やさしげなその絵柄とは対照的に、淡々と記された過酷な事実が、読者の記憶に強烈に刻まれざるを得ない、貴重な存在となっている。とりわけ60年以上も前の風化しつつあるできごとを、父親にどうにか思い出しつつ語ってもらい、それを数少ない資料と照らし合わせながら再構成していった、作者の努力には、素直に敬意を払わずにいられない。 さて、シベリア抑留が未だになぜ話題に上りにくいのか、という点については、いくつかの理由が考えられるだろう。一つには、
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「龍馬「船中八策」の謎に挑む」 坂本龍馬は幕末維新史のなかで最も人気の高い人物のひとりと言ってもよいだろう。司馬遼太郎の歴史小説『竜馬がゆく』(1963-66年)が龍馬人気の定着に大きく貢献したことも今日では周知の事実だが、本書(千野文哉『「坂本龍馬」の誕生』人文書院、2013年)は、龍馬の名前とともに語られる「船中八策」がどのように形成されてきたか、利用できる限りの資料を渉猟して解明しようとした話題作である。 NHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)の冒頭に土佐の新聞記者、坂崎柴瀾という人物が登場したが、柴瀾は本書でも鍵となる役割を演じる。どういう意味かといえば、「船中八策」として知られる文書を坂本龍馬作として世の中に紹介し、それを普及させたのが他ならぬ柴瀾の作品「汗血千里の駒」であったからだ。論証のプロセスはかなり複雑なので、詳細は本書を読んでもらうしかな
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「おとなにも読めるラノベ?」 ラノベとは何か? ライトノベルの略称だ、くらいはわかる。でも、実際に手に取ったことはないし、手に取る気もないし、どうせ中高生の「こども」が読むくだらん小説だろうと高をくくって、そのくせ「まるでラノベじゃんか」といったセリフだけは口にする「おとな」たち。 明らかに世代間の断絶があるのだ。本書の目的はそんな断絶をきちっと整理しましょう、理解しましょう、というところにある。単なる断絶に見えるものにも実はつながりがあって、起源や影響があって、でも、微妙な違いもある。別にラノベを擁護しようというのでもなければ、弾劾しようというのでもない。病理として解剖しようというのでもない。あくまで現代日本を理解するための端緒にするのだと著者は言う。本書には「古典的ラノベ」からの抜粋が散りばめられ、さながらミニ・アンソロジー。その語り口からは自ずと著者のラ
コメントで頂いた情報を「2. 数式関係」に,使ってはいけないパッケージの自動チェックについての項を末尾に追記しました.(2013/10/12) 制御関係の学会では LaTeX というソフトで論文を書きます.LaTeX の歴史は古く,現代の水準で考えると設計し直すべきと思う部分も多々ありますが,世間で広く使われている Word の生産性が論文を書くという作業において今ひとつという事情も手伝ってか,現在に至るまでデファクトスタンダードの座を維持しています. Wikipedia の記事によると $\LaTeX2e$ がリリースされたのは1993年,つまり20年前で,これ以降様々なパッケージによる拡張が行われています.現在(2013/03/11) CTAN には 4451 個 のパッケージが登録されているそうです.また,Web上にも色々なテクニックが蓄積され,大抵のことを実現する方法は検索すれば
■インタビュアーの介在の利便性 本稿は前回分で終わったと自分では考えている。けれど、ここでもう一回という編集部の提案があったので、筆まかせにインタビューに関してのことを、書き漏らしやふとした疑問も含めて綴ってみようと思う。 僕がまだ原稿がどうやって出来上がるのか、さっぱり知らない読者だった頃はインタビュー記事を好んで読んでいた。年を経て自分が関わるようになってからは、どんな読者が目を通すのかが不明瞭に感じるようになった。これは一体どういうことだろうかと考える時がある。純粋読者だった頃のインタビューの魅力は読みやすさと、語り手自身の書くものよりも率直でわかりやすく領解できるというところに尽きるだろう。ミシェル・フーコーのインタビューでも感じることだが、インタビュアーが相手の思想を要約しているので、読んでるこっちは知ったような気になるわけだ。インタビュアーを介しての思想伝達だ。 そう考えるとイ
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「中国とどうつき合うか?」 著者、天児慧は、2010年9月の「中国漁船衝突事件」以来、「大学の仕事以外に、日中問題を考え、書き、喋ることが筆者の日常で最も大きな比重を占める仕事となった」。それまでの数年間、「日中関係の前途に大きな希望を膨らませ始めていた」だけに、「できるだけ早く行き詰まった日中関係を打開する一石を世に投じたいとの思いが強くなった」。 本書の概略は、表紙裏開きに、つぎのように記されている。「転機は二〇一〇年だった。この年、中国は「東アジア共同体」構想を放棄し、「中華文明の復興」を掲げて大国主義へと突き進みはじめる。領土問題で周辺国との衝突をためらわず、とりわけ尖閣諸島をめぐって日本との対立が先鋭化した。変化の背景には、共産党内部での権力闘争があった。熾烈な競争を勝ち抜き、権力を掌握したのは習近平。G2時代が現実味を増すなかで、新体制の共産党指導
「これからの編集者」をテーマに、さまざまな人にインタビューしていくシリーズ。第6回は、長年『ダ・ヴィンチ』(メディアファクトリー)編集長を務めた後、株式会社上ノ空(uwa no sora)を立ち上げられた、横里隆さんです。 編集長10年はちょっとやり過ぎたかな ――ダ・ヴィンチ編集部には、何年ぐらいいらっしゃったのですか。 横里:ダ・ヴィンチ編集部は厳密に言うと18年半。いやもうちょっとか。18年9か月だから約19年間。その前はリクルートの総務部にいました。ダ・ヴィンチの準備室ができるときに異動してきたんです。 ダ・ヴィンチへ異動してきたときの僕はまったく編集経験もなく、もう何一つ仕事のできない、うだつの上がらない編集者でした。最初の3年間ぐらいはボロボロの雑巾のような日々を過ごしていて、それがいろんな巡りあわせで編集長になったんですから、本当に偶然というか、不思議な感じがします(笑)。編
出版社は全国での書店流通を前提とした層と限定された小売で成立する層とに別れ始めている。 などと思ったが、よくよく考えてみるとそもそも津々浦々までの流通を考えている社とそうでない社は昔からあったしやり方は昔から全然違った。昔は意外と明確に棲み分けがなされていたのに、どこからだろう、なんだかごっちゃになって皆が全国規模の流通を前提とし始めてしまった。流対協のネガティブな一面かもなあ。大手と同様の条件を目指し、結果として大手と同じ枠組みの中で勝負せざるを得なくなってしまったのかも。 全国津々浦々の書店流通を前提とする出版者の数はもっと少なくてもいいんじゃないかなあ。零細出版社は何が何でも全国の書店での流通を目指すという必要はないと思う。電子書籍の影響で小零細はさらに増えそうだ(某社が紙の本を出したのは自分的には驚いた。結局そっちでマネタイズなのか、電子書籍の時代を作るんじゃなかったのか)が、それ
主要な出版関連団体でつくる日本出版インフラセンター(東京)は、電子書籍市場の活性化や東日本大震災で被災した東北地方の雇用創出を目指す国の補助事業を行った効果について追跡検証する第三者の有識者委員会を、今秋にも設置すると発表した。検証結果は、ビジネス展開を通じた復興支援などに役立てたいとしている。 同センターによると、事業は経済産業省から受託する形で平成24年度に本格スタート、約9億5000万円の補助金を利用した。電子化事業の対象は国内出版社約460社の書籍計約6万5000タイトル。作業のかなりの部分は東北地方で実施したという。 しかし復興支援と電子書籍事業の関連性に対する疑問の声もあった上、電子化の作業が難航。終盤、大手出版社や東北にインフラがある大手印刷会社の協力を得て目標を達成した実態もあったという。
早川書房の電子書籍 HAYAKAWA ebooks 現在、早川書房から刊行されている電子書籍の一覧です。 著者姓名50音順>タイトル名50音順で掲載しております。 電子書籍は、下記の【主要取扱い電子書籍ストア】で販売しております。 【主要取扱い電子書籍ストア】 紀伊國屋書店ウェブストア(株式会社紀伊國屋書店)https://www.kinokuniya.co.jp/ セブンネットショッピング(株式会社セブンネットショッピング) https://7net.omni7.jp/basic/050001 ブックパス(KDDI株式会社) https://www.bookpass.auone.jp/ 楽天kobo(楽天株式会社) https://books.rakuten.co.jp/e-book/ BookLive(株式会社BookLive)https://booklive.jp U-NEXT(株式
「朦朧」の時代 大観、春草らと近代日本画の成立 著者:佐藤 志乃 出版社:人文書院 ジャンル:芸術・アート 「朦朧」の時代―大観、春草らと近代日本画の成立 [著]佐藤志乃 誰が言い出したか「朦朧(もうろう)体」。日本美術院・岡倉天心の肝煎りではじめた横山大観、菱田春草らの日本画の新様式。形態(事物)のエッジを曖昧(あいまい)に暈(ぼか)すことで空気や光の表現を試みるがその評価は最低最悪。怪奇的で今にも化け物が出そう。“濁っている”“汚い”“不明瞭”、そんな批判が「朦朧体」という言葉を生んだ。 ではターナーの傑作は全部朦朧体じゃないですか。批判は“汚い”だけでなく日本画の西洋化が自国の美術の喪失になると言う。そんな伝統主義者の批判に屈しない春草は「考えを画(か)く」と主張することで正統派西洋の写実至上主義と真っ向から対立。 絵画の革新的な動きは文学界、思想界とも同調。朦朧体批判は「神秘趣味」
→紀伊國屋ウェブストアで購入 読むと全身の力が抜けて、ほどよく笑えて、すっと眠りに入れる。そんな本を私は「睡眠導入本」と名付けて密かにコレクションしています。前回「睡眠導入本」として紹介したのは、『生きていてもいいかしら日記』(北大路公子著)でした。今回はもっとゆるい、例え、会社の運命を決する重要な会議の直前だったとしても、数分で脱力してしまう、恐ろしい漫画をご紹介したいと思います。 それが木下晋也の漫画です。私が『ポテン生活』に出会ったのは書店の店頭でした。寝っころがって描いたようなゆるいタッチの絵。帯には「何巻から読んでも大丈夫」というようなことが書いてありました。何巻から読んでも大丈夫って……。いくら8コマ漫画とはいえ、固定のキャラクターもいるようなのに、そんな適当でよいのでしょうか。木下さんの担当編集者さん、それでいいんですか? 結論から言うと何巻から読んでもホントに大丈夫でした。
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「このマンガが「あえて」か「素」かに、出版業界の浮沈が掛かる」 本作は、長期的な不況に見舞われている出版業界の様子について、マンガの制作過程を中心に、マンガで描き出した、いうなれば「自己言及的」な作品である。 そもそも日本のマンガ作品において自己言及はよく見られてきた特徴だが、言及の対象が、「自己」の水準から、「社会」の水準へと移行したところに、本作の特徴がある。 かつての著名な作家、たとえば手塚治虫や藤子不二雄、少し時代が下がって岡崎京子などの作品中においても、作家自身がモデルとなったようなマンガを描くキャラクターが登場していた。場合によっては、そのキャラクターが作家自身と同じ名前だったりもした。 そうしたふるまいは、明治期の近代小説の時代から続く、いうなれば自己の探求過程の一環であったといえる。すなわち急速な近代化の波に翻弄される中で、探求を続ける自己とい
トップ > Chunichi Bookweb > 書評 > 記事一覧 > 記事 【書評】 字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記 太田直子 著 Tweet mixiチェック 2013年6月30日 ◆台詞と人生を磨く [評者]中条省平=フランス文学者 じつに面白い本だ。技術論として、言語論として、人生論として。 技術論というのは、本書は映画の字幕がどのように作られるかを、丁寧かつ分かりやすく記した日本で唯一の本だからだ。観客が字幕で読めるのは一秒で四文字。俳優がどんなに猛スピードで喋(しゃべ)っても、この字数に縮めなければならない。そんなアクロバットのような作業の逐一をユーモアたっぷりに教えてくれる。 というわけで、字幕作りでは語学力より、日本語のセンスが問題になる(本書の文体も弾むようで、読みやすい)。例えば「他人の人生を何だと思ってるんだ!」という台詞(せりふ)の訳がある。これが一秒で言われていた
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く