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ブックマーク / milesta.blog72.fc2.com (30)

  • 本からの贈り物 |『神道と日本人 魂とこころの源を探して』 山村 明義

    神道と日人 魂とこころの源を探して (2011/09/14) 山村 明義 商品詳細を見る 題名から、宗教に関する学術的なか、または民俗学のようなを思い浮かべていた。ところが意外なことに、現代の神道と現代の日人の話が軸になっている、とても読みやすいなのである。 著者の山村明義氏は、全国の神職の方々を訪ね歩いてインタビューを行った。そこで語られるのは、神社の由来や神話の話から現代社会と神社や神道の関わりまで、実に多岐にわたる。 個別にインタビューしているのに、何人もの神職からしばしば同じような言葉や考えが述べられる。 特に、現代社会がおかしくなっていることについて、多くの神職は、日人らしい心が失われているからだと考えているようだ。何事にも感謝する心、家族や先祖を大切にする心、自分のことより他人のことや公のことを心配する心。 また現代人は心の制御ができていないと仰る方もいる。人間は誰

  • 本からの贈り物 |『ビルマの竪琴 』 竹山 道雄

    子供の机にあった『ビルマの竪琴』を何気なくパラパラとめくっているうちに、最後まで読んでしまった。子供の頃一度読んだはずなのに、読みながら感じることや考えることが、子供の頃とは全く違うことに驚きながら。 かつて読んだときには、「ビルマ僧は水島なのか?」という推理小説的な謎にばかりが気になっていた。水島はビルマ人に見えるということが鍵だと推測し、「水島とビルマ僧は実は双子だった?」とか「自分に似ているビルマ人を好きになってしまった?」などと、想像力を存分に膨らませていた覚えがある。その結果、筋を忘れて読んでいたらしい。 また、当時から今までに読んだ別のや様々な情報が、このの理解を違ったものにしている。 (ここから先は、いわゆる「ネタバレ」もありますので、内容の知りたくない方は、ここまででお止めください。) これまでに読んだの中でも、同じビルマで収容所生活を送っていた会田雄次氏の『アーロ

  • 本からの贈り物 |『ぼくのじしんえにっき』 八起 正道・作/伊東 寛・絵 (再掲)

    東日大震災が起き、二週間になろうとしています。 震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞い申しあげます。 まだ充分な支援が受けられていない方々に、暖かい場所と温かいべ物がどうか早く届きますように、関係者の皆様、よろしくお願いいたします。 地震発生後、この記事へのアクセスが急増しましたので、再掲いたします。 元記事は2007年に書いたもので、今回の地震を踏まえた内容ではないこと、リンク先が消滅しておりますことを、ご了承ください。 以下は、過去記事です。 ======================================== 「子供達への年賀状」という題名で、作家の曽野綾子さんが昨日の産経新聞(1月4日「正論」)に子供達への提案を書かれていた。とてもわかりやすく書かれていて、子供も大人もこれを読んで今年1年の過ごし方を考えるのも良いのではないかと思った。現実

  • 本からの贈り物 |『閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本』 江藤 淳

    「何だか怪しい。」と思ったのは、私がまだ学生の頃のことである。ハーシーチョコレートはおいしいかどうかで、母と意見がい違ったのだ。口溶けが悪くて、ざらざらしていて、脱脂粉乳か何かの独特な匂いがして、私は好きではないと言った。母は「おいしい。」という。しかし普段は味に関する語彙の豊富な母が、そのおいしさを説明できないのだ。ただの好みの違いかもしれないが何か腑に落ちない。そういえば事は何でも手作りをする母が、キャンベルの缶スープは時々使っていた。「HERSHEY’S」と「Campbell’s」、どちらもアメリカを代表する品ブランドだ。母が幼い頃「進駐軍」から流れてきたチョコレートや缶詰をべたと言っていたことも思い出した。 「母は、アメリカに騙されている。」 この半分冗談で考えたことが、実はもっと恐ろしい類のもので、占領軍によって日全国に隈無く行われ、今の日社会にその影響が色濃く残って

  • 本からの贈り物 |映画 『樺太1945年夏 氷雪の門』

    この映画を見終え、中学生の子が最初に言った言葉は「この映画は(観ることを)義務化したほうがいいね。」だった。 ここに描かれている歴史は、学校の授業で教えられることはなく、しかし子供ながらに「これは知っておかなければならないことだ。」と感じたのであろう。沖縄戦のことは語られるのに、なぜ樺太へのソ連の侵攻と多くの日人犠牲者のことは語られないのか。その疑問が「義務化」という言葉に繋がったのだ。 来なら、義務ではなくとも多くの日人が観たに違いないこの作品は、36年も公開されぬまま埋もれていた。 36年前に、樺太の史実を語り継ごうと五億数千万円もかけて制作され、文部省選定や日PTA全国協などの推薦も受け、前売り券は70万枚(10月4日訂正)も売れたという『樺太1945年夏 氷雪の門』は、ソ連大使館からの抗議により、公開を断念せざるを得なくなっていた。 その時、ソ連の圧力に屈せず公開していたら

  • 本からの贈り物 |『木の教え』 塩野 米松 (過去記事 祝!文庫化)

    一冊のでいろいろなことを考えさせられた『木の教え』。最近文庫化されたことを知り、もう一度紹介することにしました。主人公は木、そして物語ではなくいわゆる説明文であるのに、なぜか心を動かされ、じわじわと静かな感動のようなものが迫ってきます。屋さんで見かけたら、ぜひ手に取ってご覧になってみて下さい。 以下は、過去の紹介文です。 ----------------------------------------- 木は当にいろいろなことを教えてくれるんだなぁと、感心してしまった。この一冊で、木の性質、伝統や技術の伝承のこと、環境問題、果ては教育問題までを知り、考えることになる。子供でも読める平易な文章に込められている情報の数々は大変価値あるものだ。 出だしの「木は二つの命を持っています。」が、全編を流れるテーマである。植物として生えている木は誰もが知っているが、 「木は伐り倒された後に木材とし

  • 本からの贈り物 |『台湾人生』 酒井 充子

    台湾の人たちは日の統治に苦しめられたとか恨んでいるという声がある。 一方で、台湾の日語世代はとても親日的だと言うことも言われている。 この二つは矛盾するようだが、どちらも当で、この二つの思いを二つとも抱えたまま六十年以上も過ごしてきた人がたくさんいる。そして、その思いの複雑さは人達も上手く整理して説明できない。けれども、抱えてきた思いを、現代の日人や台湾人にどうにかして伝えたいという気持ちが、切々と伝わってくるインタビュー集である。 このインタビューは、著者がドキュメンタリー映画を撮影するために行ったもので、映画なら台湾の人たちの思いがもっと直接伝わってくるのだろう。しかし、文字で読むだけでも、胸が締め付けられるような何とも言えない気持ちになる。 日語で話す台湾のおじいさん、おばあさん達の話は、まるで昔の失恋を、多少の恨みと、切ないような懐かしさと、今でも抑えきれずに溢れ出てく

  • 本からの贈り物 |『イラク自衛隊「戦闘記」』 佐藤 正久 

    「ヒゲの隊長」こと佐藤正久氏が今、二度目の旋風を巻き起こしている。 一度目は、イラクのサマワで自衛隊が派遣された時、ヒゲのおかげもあってイラクの人々から慕われる先遣隊長として名を馳せた。 二度目は、参議院議員として安全保障問題について理路整然と与党の曖昧さを質し、大臣達がしどろもどろになる様子がインターネット上の動画で多くの人々に視聴され、ヒゲ隊長の人気が再び高まっている。 私もその動画を見て虜になった一人である。 専門家であるにも拘わらず、誰にでもわかる言葉遣いで簡潔な質問をする。 持っている情報量が並みではない。 その情報を基にした適切な分析と問題点の抽出。 国防や外交という大局と現場や国民感情という細かな部分の両方を考えることのできる視野の広さ。 そして意外にも、と言っては失礼だが、かなり心優しい方のようなのだ。 外交防衛委員会などをじっくり聴いていると、与党が普天間問題で袋小路に入

  • 本からの贈り物 |『子どもにスポーツをさせるな』 小林 信也

    国際水泳連盟(FINA)は、レースが終わってから水着が認可できるものかを審査し、その結果世界記録を上回っていた日選手のタイムを公認しないことを決定したという。練習を積み全力で泳いだ後で、記録を反故にされた選手の気持ちを思うと、気の毒で、悔しくて、新聞記事を読みながら涙ぐんでしまった。 FINAの公式スポンサーであるメーカーの水着だけが早々と認可されていて怪しいと、北京オリンピックの頃から言われていた。 一方、まだ認可されていない水着でレースに出ても良いと判断した日水泳連盟も浅はかではなかったか。 水着メーカーは開発競争を急ぎすぎてはいなかったか。 そもそも、水着に勝敗や記録を左右されるのは、競泳来の姿だろうか? 選手ではなく周りの「大人たち」の都合で、スポーツがとんでもない方向に向かっている。スポーツライターの小林信也氏は、このとんでもない方向性が、子供達からスポーツ来の楽しみや自

  • 本からの贈り物 |『君たちはどう生きるか』 吉野 源三郎

    前回に引き続き、卒業や入学の贈り物となりそうなを紹介したい。 今回は小学校を卒業して中学に入学する時にはどのようなが良いか考えてみた。「そうだ、ちょうどこの年頃にぴったりのあのだ。」と思い出したのが『君たちはどう生きるか』。しかし書かれたのは戦前だし、私もコペル君の名前くらいしか覚えていない。これを機会に再読してみた。 改めて『君たちはどう生きるか』を読んでみると、大人になった今その真の大切さがわかることがたくさん書かれている。そしてそれがかなり深い内容であるにも拘わらず、中学生でも興味を持って読める物語仕立てになっていることに、よくできていると感心する。 主人公は中学二年生のコペル君。名は田潤一だが、故あって叔父さんからコペル君というあだ名を頂戴している。仲良しの友達は、立派なお屋敷に住む水谷君、ガッチンというあだ名の頑固だけれど正義感の強い北見君、豆腐屋の息子で心優しい浦川君

  • 本からの贈り物 |『皇后宮美智子さま 祈りの御歌』 竹本 忠雄

    「敷島の道」とは「日古来の道」という意味で、和歌のことを指す。日人は、古来から様々な場面で和歌を詠んできた。しかし現代では日常的に和歌を作る人は稀であろう。「敷島の道」が今も連綿と続いているのが、宮中である。こうしたを読むと、「敷島の道」を途切れることなく繋いでいくというのも皇室の大切な役割なのではないかと思うと同時に、和歌は自由にものを仰れない皇室の方々の限られた心情表現の場でもあるのかもしれない感じる。 皇后宮(きさいのみや)美智子さまは、世界の情勢から小さな虫や蚕にまで、実に繊細に御心を動かされ、それを美しい表現で和歌にされ、その御歌からは、世界中を包み込んで下さるような大きな慈愛が溢れ出ている。 また一方、一般国民にはとうてい想像もつかないような「私」の抑制をされているのであろうことに胸が痛む。ご母堂のことを詠まれた御歌は、実にせつない。しかしその徹底した「公」のお心構えには

  • 本からの贈り物 |『幸子の庭』 本多 明

    淡々とした、しかし植木に水をやるように大切なものがじわじわと心に染みこんでくる、奥の深い児童書である。 かつて住んでいた家に「人生最後の旅」と称して、九十六歳の久子おばあちゃんがやってくる。 慌てたのは孫にあたる幸子の母だ。この家を譲り受けたが、ここ数年庭木の手入れを怠っていた。この「おばけ屋敷」のように荒れ果てた庭を、おばあちゃんが悲しまない状態に修復することができるのか・・・。 母や久子おばあちゃんを思う幸子のおかげもあって、植木屋さんが入ることになった。 幸子は、はさみのパチン!パチン!という音と職人さんの仕事ぶりに引き込まれ、学校を休んで閉じこもりがちだった部屋から出てくるようになる。 『幸子の庭』という題名ではあるが、この植木職人田坂健二こそが、物語の要となる人物である。 第二章『庭師修業』に描かれる健二の半生には、他の同世代の若者とは比べものにならないほどの濃縮した時間が流れ、

  • 本からの贈り物 |『14歳の子を持つ親たちへ』 内田 樹/名越 康文

    十年ほど前から、ある少年犯罪をきっかけに、「十四歳」という年齢が何か特別なもののように語られるようになった。 私自身の十四歳の頃を思い返すと、脳天気に運動部の練習ばかりやっていたので、「十四歳」という年齢の特殊性にはあまりピンとくるものがなかった。 ところが、このの中で次のように語られているのを読んで、なるほどそういうことかと思った。 内田 (十四歳くらいの時は)・・・頭は子どもなのに身体は大人って感じることもあるだろうし、逆に身体が子どもなのに頭は大人っていう感じがすることもある。・・・ その例として、内田氏が中学生の時に文通していた同年代の少年と初めて会った時の衝撃が語られる。お互いに生意気な、気取った、毒々しい文面を送り合っていただけで、相手の容貌を知らない。 内田 僕は彼が細面で痩身の知的な風貌の青年だろうと想像していて、彼も僕のことを勝手にそういうふうに想像していたらしい。で、

    funaki_naoto
    funaki_naoto 2008/07/28
    「親の方が治療が必要だ」
  • 本からの贈り物 |『葡萄色のノート』 堀内 純子・作/広野 多珂子・絵

    『葡萄色のノート』、なんて素敵な響き! 「葡萄色」のイメージといったら甘くてちょっぴり渋い。題名と葡萄色の表紙の美しさに惹かれてこのを読んでみると、その葡萄色はますます深みを増して感じられてくる。 ノートを書き繋いでいった六人の少女たちの十四歳という年齢をこの複雑な色が表しているのだろうか。彼女たちの人生を取り巻く懐かしく甘い思い出と、自分にはどうすることもできない苦い歴史の採り混ざった色が葡萄色なのだろうか。 梢は、十四歳の誕生日に、おばあちゃんからソウル旅行プレゼントされる。それも一人旅だ。早速親友のすみれちゃんにメールで報告。「キャー、ウソ、すごいじゃないの。・・・」と喜んでくれたのに、ソウル行きが近づいたある日、すみれは「やめてほしいの。」と言い出す。すみれが大好きな塾の川瀬先生に大変なことを聞いたからだった。 「川瀬先生がね、話してくださったの。あのね、コッペ、びっくりすると

  • 本からの贈り物 |『日本の島々、昔と今。』 有吉 佐和子

    もしも私が高校の社会科の先生だったら、生徒たちに、このの一読を勧めたい。 旅行記のような読みやすい体裁であるが、日の産業、外交、エネルギー、環境、など様々な現代の問題、そして辺境である離島にも教科書に書かれているような日史との繋がりが種々あること、その歴史の積み重ねが今の領土・領海問題を生み出してもいること、などを考えるきっかけとなる、社会科の総合学習のようなであるからだ。 有吉佐和子氏が、この離島を巡る取材を行ったのは、昭和五十四年から五十五年にかけての、今から約三十年も前のこと。当時世界の海は二百カイリ問題に揺れ、また第二次石油ショックの真っ最中でもある。このような背景もあり、当初有吉氏は、「今」の題材として漁業問題を中心に取材を行おうと考えていたようだ。どこの島でもまず漁業組合を訪れ、熱心な取材をしている。 一方、種子島、隠岐島などが取材先に選ばれているのは、「昔」の方への関

  • 本からの贈り物 |『赤い大地黄色い大河―10代の文化大革命』 アンコー チャン・作 絵/稲葉茂勝・訳/青野 繁治・監修

    オリンピックの聖火リレーが行われた世界各地で、沿道に終結し、旗を振る中国人留学生たち。ネットでの言論を見ていると、彼らの行動を「まるで文化大革命だ」と感じた人もいたようだ。当の文化大革命では、多数の中国人が、命を奪われたり、人前で辱めを受けたり、いわれのない拘束を受けたり、強制労働をさせられた。今回の留学生の行動に、そこまでの過激さはないが、全体主義国家に煽動された若者の集団という点では、やはり文化大革命を思い起こさずにはいられない。 あの留学生たちの多くは、自ら人権蹂躙に加担しようと思っているわけではないだろう。純粋な愛国心や中国人同士の仲間意識が行動の発端になっている人たちが多いのではないだろうか。しかし、その純粋な者たちが間違った指導者を頂くとどうなるか、それを教えてくれるのがこの絵である。 作者である画家のアンコー・チャン氏は、北京で生まれで、ティーンエイジャー(13歳~19歳

  • 本からの贈り物 |『ぼくの・稲荷山戦記』 たつみや 章・作/林 静一・絵

    外国に暮らしていると、「日の宗教は何ですか?」と聞かれることがある。仏教と神道の二つを同時に信仰している人が多いと答え、あまり知られていない神道についてのちょっとした解説を付け加える。すると、神道のことを初めて聞く異教徒、それも一神教の信者までもが「それはすばらしい考え方だ。」「神道は私たちの考えに近い。」などと興味を示すことが多い。神道については、専門家に教えていただいたりで読んだことを私流に解釈し、次のように説明している。 一、世の中には人間の力ではどうすることもできないこと・・・自然の恵みや天災、宇宙の法則などがあり、そうした神々の領域のものへの畏敬や感謝の念を忘れない。身近なところでも、万物に神が宿ると考えられていて、どんなものでも大切にする。 二、私たちの生きているこの世は、遠い先祖の時代から連綿と続きここに至っている。先祖に感謝し、私たちもより良い社会を子孫に残していかなけ

  • 本からの贈り物 |『ダライ・ラマ平和を語る』 ルイーゼ・リンザー

    著者のルイーゼ・リンザーは、ナチスに抵抗して死刑判決を受けたことのあるドイツの女流作家。カトリック信者であると共に、文中からは社会主義、共産主義へ幾ばくかの期待を抱いている人物であることがわかる。そのルイーゼ・リンザーが、一週間にわたってダライ・ラマ14世と対話をした記録が書である。 著者自身は、ダライ・ラマ14世とは前世でも関わりがあったのではないかと書いているほど、ダライ・ラマに惹きつけられ共感を覚えている様子だが、私にはむしろ、宗教も思想もダライ・ラマとは全く異なる立場であることが、対話の内容を興味深いものにしていると感じられた。 例えば、著者は共産主義に関して同情的なニュアンスを込めてこう質問する。 私の質問-当初の理念を実現するために十分な時間を共産主義に与えなかっただけなのではないでしょうか。共産主義を野蛮で闘争的にさせたのは、西側諸国のほとんど全体の抵抗だったのではないでし

  • 本からの贈り物 |『悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記』 木村 元彦

    コソボが独立宣言をした。そのニュースを見て慌ててこのを読んだ。読まないまま積んでおいたのは、私はサッカーにもコソボを巡る紛争にも疎く、全くわからないことだらけのを開くことに躊躇していたからだ。しかし一度読み始めると、著者の命がけの取材によって民族紛争の実態が次々と明らかにされていき、今度はを閉じることができなくなる。 取材の対象は、実に「狭く」て「広い」。というのは、著者の元々の関心はユーゴスラビアのサッカー選手やチームにあるため、取材対象は、サッカー選手、サッカーチームのオーナー、サッカー協会のお偉いさん、有名フーリガンやサポーターなど、サッカーに関わる人々という限定的なものになる。こちらが「狭い」方。 次に「広い」方。そのサッカー関係者の民族、出身地をみていくと、セルビア、アルバニア、モンテネグロ、コソボ、クロアチア、スロベニア、マケドニアと、旧ユーゴスラビア全域に散らばる。著者

    funaki_naoto
    funaki_naoto 2008/02/29
    「絶対的な悪者は生まれない。絶対的な悪者は作られるのだ」
  • 本からの贈り物 |中国製餃子事件を考える(其の一)-『ベターホームのきょうの献立』 ベターホーム協会

    中国製の餃子をべた人が中毒を起こした事件。同じ工場で作られた製品の多さに驚いた。中国の事情に詳しい宮崎正弘氏は、週刊誌の取材にこう答えられたそうだ。 「要するに日の家事に当たる人(主婦でも主夫でも)が炊事に横着を決め込んで、冷凍をオーブンにかけて事を済ませるのが、需要を富ませる。中国からの冷凍加工品の輸入は過去十年間で五倍になった。ということは日人の事が五倍横着になったことではないのか」(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成20年(2008年) 2月1日(金曜日) 弐 通巻 第2073号) 生産拠点が日から中国に移った分もあるだろうから、五倍全部が横着のせいではないと思うが、加工品が安くなって利用しやすくなっていたことは確かだろう。 中国製は危ない!ならば手作りを・・・と思っても、はて?具材は何だろう?白菜はゆでるのか?と戸惑う人も多いかもしれない。 主婦を何年もやっ