12時きっかりにその式典は始まった。シュテファン・クライスは青いラベルのついた瓶を取り、中の液体を筒状のグラスに注いだ。 この醸造主任は生まれがシュトゥットガルトゆえに、わずかにシュヴァーベン訛りで話すが、バイエルンの伝統的な革ズボンと革靴というかっこうで、いまはバイエルンのビール工場の人であるとひと目でわかる。彼は泡をよく見て、グラスを回し、そしてもう一回しして、鼻を差し込んで香りをかいだ。 「甘味と酸味のバランスがしっかりとれていますよ。このバランスがビールを爽やかにするのです」とクライスは言う。そして一口飲んで味わった後、感激したようにグラスを見つめる。 「最後の一口を飲み込むとき、何だこれは、とちょっと驚きます。すぐにもう一口ほしくなるのです」 クライスが試飲しているのは、ヘレスでも、ヴァイツェンでも、ピルスナーでもない。最後の一口が驚きをもたらすのは、「エルディンガー・アルコール