フランスや欧州各地で農家の危機が発生している。これが示すのは、社会の不平等や私たちの経済システムの目に余る不公平さを激減させなければ、いかなる持続的な発展も望めない、ということだ。 それなのにフランス当局やEU当局は、農家の危機に対して、農薬の規制を緩めて環境汚染を進行させる一昔前のやり方で対応しようとしている。不平等の問題や経済的自由主義の教義と闘おうとしていないのである。 この対応がことさら不適切なのは、いまの農業が、ほかの職種と比べても格差が大きいだからだ。何事も基本的、かつ具体的な現実から出発すべきだ。そうでないと、実行可能な解決策につながらない。 まずはおさらいをしよう。この数週間、フランスでは2022年の農家の平均年収が5万6014ユーロ(約921万円)だという統計が大量に拡散され、世論を驚かせた。想定を大幅に上回る額だったのだろう。このデータは、フランス農業省の統計部門がほか