男女平等が進み、手厚い育児ケアが無償で提供されるフィンランド。「モデル」とされてきた北欧の同国でも、いま急激に少子化が進んでいる。その原因は、これまで見過ごされてきたことにあると、フィンランド家族連盟人口研究所のアンナ・ロトキルヒは、英紙「フィナンシャル・タイムズ」に語った。 全世界で急激に進む「少子化」 20年前、フィンランドはすべてを実現させたように見えた。出生率は上昇し、労働力人口に占める女性の割合は高かった。その背景にあった北欧モデルを学ぶため、東アジアや英国など世界中の政策立案者たちがやってきた。同国には、世界最高水準の産前産後ケア、両親共に与えられる手厚い育児休暇、就学前保育の権利などが整っていた。 しかし、フィンランドに対する認識は間違っていたのかもしれない。同国では親が手厚い支援を受けられるにもかかわらず、2010年以来、出生率が3分の1近くも低下した。それは提供される社会