トム・ターシッチは行き詰まっていた。だがある日、高校でクラスメイトたちと観た、映画『いまを生きる』(1989)が運命を変えた。 ロビン・ウィリアムズ扮する英語教師ジョン・キーティングが、文学への愛を通じて生徒らに大切な気づきを授ける作品だ。キーティングの「今日を生きろ(カルペ・ディエム)。毎日を楽しみ、君らの人生をかけがえのないものにしろ」というメッセージが、劇中の生徒らに多大な影響を与える。そしてターシッチもまた、非常に刺激を受けた。 彼は、この映画を繰り返し観た。今日を生きて、人生をかけがえのないものにするにはどうすることがベストなのかと自問した。そうして、「自分の未来はなるようにしかならないのではない。自分で切り拓くことができるもの」という思いに行き着いたのだ。 それからは、ひたすら行動に移した。高校の水泳チーム代表として優勝し、舞台に出演し、中断していたテニスを始めて校内チャンピオ