世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者で、フランスの経済学者であるトマ・ピケティによる新連載。9.11から20年のときを経て、ピケティは「文明の衝突」から次のフェーズへと目を向けるべきだと強く主張している。 20年前、世界貿易センタービルのツインタワーが飛行機によって倒壊した。史上空前のその攻撃がきっかけで引き起こされたのが、米国とその同盟国の一部が仕掛けた、テロと「悪の枢軸」に対するグローバル戦争だった。 米国のネオコンたちにとって9.11は国際政治学者サミュエル・ハンチントンが1996年に提示した「文明の衝突」論の正しさを証明するものだった。それで、「文明の衝突」が世界情勢を読み解く新たな概念となった。80年代のレーガン主義者がミルトン・フリードマンの1960~70年代の著作を枕頭の書としていたのと同じように、ネオコンの枕頭の書はハンチントンだったわけだ。 しかし、不幸な