「知らない人について行ってはいけません」──そう言われて育ち、「見知らぬ人とは関わらない」ことに慣れてしまった人も多いかもしれない。だが、実はそうした他人との会話が、私たちに安心感や一体感をもたらしてくれるとしたら? 『見知らぬ人の力:疑い深いこの世界で繋がることのメリット』(未邦訳)の著者、ジョー・コヘインがその効能を解説する。 ニックは幼少期のほとんどを、人を避けて過ごした。短気な父親と、自分が経験したトラウマを娘にも繰り返す母。そんな両親のもとで育ち、彼女は人を恐れ、孤立するようになった。 「私の脳は、人を恐れるよう早い時期からプログラムされてしまいました。みんな悪い人で、私を傷つけるから、と」 「知らない人を見たら危険と思え」と教え込まれ、知り合い以外はみな恐怖の対象であると見なされる国において、ニックのような恐怖を持つことは珍しくない。 だが、彼女はそれが良くないことだと考えるよ