システムダウン――悪夢のような現場を、幾度も味わったことがある。 鳴りつづける電話、飛び交う怒号、性能劣化、DB汚染、運用規制、緊急リリース、システム再起動、復旧、パッチ当て、究明・対策・謝罪文、お詫び行脚、徹夜、徹夜そして徹夜。体は臭いし、もちろんおしっこに行くヒマはない。 デスマーチとは違った修羅場で揉まれるうち、別の嗅覚が効くようになる。ソフトウェアの不具合に因るのか、性能や容量不足に起因するのか、設定や操作ミスなのか、ハード故障といった不慮の事故なのか、初動時に嗅ぎ分けられるようになる。 さらに、「この時期この時間はヤバい、魔の刻だぞ」とか、「あのチームが手を入れた機能がリリースされるから、致命的なやつが起きるならここ」といった、先の先を見越して水面下で準備するようになる。どんなに手を尽くしても、起きるものは起きる。けれども、きっちり準備をしておけば、被害を最小限に食い止めることが