前回より続く CMOS技術でRF回路を集積するに当たり,無線通信の送受信方式や変調技術の違いによって集積しやすいものとそうでないものがある。今回は現代主流となっている方式を基に,回路設計者が知っておくべき無線通信回路特有の特徴や課題を基礎から解説する。 (野澤 哲生=日経エレクトロニクス) 2000年に入り開発が活性化し,一気に実用レベルへ進展したCMOS RF回路。前回はここまでに至る道のりを,ワイヤレス通信とRF回路の歴史から振り返った。今回はRF回路に特有の信号処理である周波数変換と変復調について,回路設計の際に考慮すべき不可欠な要素や課題の例を紹介する。加えて,回路設計とのつながりを考慮して,RF回路の不完全性や雑音が変調信号に及ぼす影響とその対策についても触れる。後半には変調技術についての入門的な解説も用意した。 イメージ妨害波の抑圧が重要 今回は,現在も携帯電話機やPHSなどで