もっと素朴な論証もできる。つまり、高度成長期はみんなもっと貧乏だったが結婚や出産をしていたし、開発途上国でも結婚や出産が特殊な事例では決して無い事を考えると、男性の経済的状況を理由にするのは説得力が無い。 1.2. 女性の社会進出が晩婚化をもたらしているのか? 女性の社会進出に伴う機会費用の増加も、良く現実を説明しない。未婚女性の方が非正規雇用が多く、キャリアが無い彼女たちには結婚による機会費用がほとんど存在しない。しかし、酒井・樋口(2004)によると、女性のフリーターも結婚・出産年齢が高くなる。 筒井氏自身も「そもそも、女性は結婚する前の離職率も高い。なぜかと言うと職場の扱いが違うからです。結婚や出産を機に離職するというのが、よく言われることなのですが、じつは結婚前にどんどん女性は会社を辞めている」と指摘しているが、これは女性が結婚や出産で失う機会費用が低い事を意味している。 1.3.