タイタニック号に乗っていたたった一人の日本人。万死に一生を得た彼は遭難から生還までの体験を4300字近い手記に書き残した。 タイタニック号に乗っていた唯一の日本人、細野正文。万死に一生を得た彼は、救助された船の上で、自分の身の上に起きていることを書き残した。タイタニックの船室備え付けの便箋に、細かい文字で書き綴られた手記からは、壮絶な事故現場の生々しい様子とともに、日本人として恥ずかしくない行動を心がけつつ、生還への望みを懸けて下した細野の決断が記されている。世紀の遭難事故を生き延びた日本人の体験を誌上で再現する。 細野正文さんの遭難手記。救助された後、タイタニックの船室に備え付けられていた便箋の表裏につづった。便箋には、タイタニックを所有したホワイト・スター・ラインの社旗とOn board R・M・S・“TITANIC”の文字が印刷されている。 (細野家蔵 横浜みなと博物館寄託) ジェー