このマンガを読んだときは衝撃を受けた。このタッチは見慣れている気がする、美大っぽい感じ。ラフな感じでありながら、きちんとした教育を受けた人の筆さばきだ。だから画面に展開する図像に目新しさ、投げ遣りを装ったキャラクターたちの計算された脱力感に驚いたのではない。何に驚いたかと言えば、そのSF的な表現だ。『変身のニュース』、これは使い古された言い方ではあるけれど、「マンガ表現の極北」にいる作品だと言っていいだろう。 この作品は、「変身」をテーマにした短篇集。乾ききった世界の中を、「すこし不思議」な設定の若いキャラクターたちが少し苦い人生を生きている。まるでカフカのあの『変身』を彷彿とする「変身」が登場人物にもたらされ、その「変身」によって世界の構造そのものが根底から大きく覆される。素っ気ないかのようなキャラクターや情景の描写、敢えて「ちょっと意外な(でもそれなりにありふれた)SF的設定」が導入さ