はじめに――私には、ふたつの立場がある最初に、ちょっとだけ自己紹介をさせてください。 私は、中学生のときに不登校になった。そのあと全日制の高校に戻り、大学にも進んだ。でも大学では、人の輪のなかにどう入ればいいのかがわからず、正直、かなり苦労した。 そして、そのあと東京大学大学院の教育学研究科に進んで、不登校の研究をしていた。 つまり私は、不登校を「内側」からも「外側」からも見てきた人間なのである。学校に行けない朝の、あの体の重さを知っている。同時に、不登校という現象が、統計や制度や思想のなかでどう語られてきたのかも、研究として追いかけてきた。 先日、『はなまる姉妹の積極的不登校日記』という漫画の炎上について、元・不登校としての文章を書いた。今回は、もうひとつの立場――研究者としての立場から書いてみたい。 というのも、あの炎上を見ながら、ずっともどかしかったのだ。 「甘やかしだ」と言う人と、

