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2012年1月12日のブックマーク (2件)

  • [書評]タイランド(村上春樹): 極東ブログ

    村上春樹の短編小説「タイランド」は、「蜂蜜パイ」と同じく2000年に出版された「神の子どもたちはみな踊る」(参照)に収録されている作品で、先日「蜂蜜パイ」を読み返したあと気になって読み返した。 私はこの短編「タイランド」が村上春樹の短編の最高傑作ではないかと思っていた。技巧的にも、その文学的な深みにおいても……。しかし時を置いて再読してみると、意外に文章は拙なく技巧も熟れていない印象が強く残った。が、依然好きな作品であり、強い印象をもつ作品であるし、再読して新しく心に残る部分もある。エントリを起こして書く意味があるのかよくわからないが、自分の関心にそって書いてみたい気がする。 短編小説「タイランド」は、いわゆる世間に流布されている村上春樹のイメージからすると異色な作品と言えるだろう。主人公は五十歳過ぎの女性に設定に設定されていることや、タイという異郷に設定されていることといった表面的な指標

  • 吉本隆明の言う「精神の速度」について: 極東ブログ

    正月ぼんやりとだが、「精神の速度」ということを考えていた。もはや遠く過ぎ去った時代のこととして吉隆明「完 情況への発言」(参照)をつらつらと読んでいるとき、三分冊(参照)の二巻(参照)と三巻(参照)の後書きが、2008年の2月と3月とで同一のテーマとして「精神の速度」だったことに気がついたのが、きっかけだった。 「情況への発言」は分冊の一巻が出たときに購入したが二巻は購入に失した。三巻はすでに宝島「情況へ」(参照)でカバーしていたので、私としてはいずれ二巻分だけ買えばよしとしてたが、完もあってもよいかと思いなおして購入しておいた。 「情況への発言」は吉隆明の同人誌『試行』の巻頭に連載されていた、その時点の政治状況への提言であった。結果として1960年代から1990年代の、あるいは昭和から平成の歴史も兼ねているともいえる。『試行』は直接購読以外に紀伊國屋書店でも販売されていて、私