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ブックマーク / honz.jp (13)

  • 『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ

    「その悩み、○○学ではすでに解決しています」みたいなタイトルのを見かけることがある。あなたが日々の仕事で直面する悩みや課題は、すでに最新の学説や理論で解決済みですよ、というわけだ。 だが当にそうだろうか。最新の学説や理論を応用すれば、世の中の問題はたちどころに解決するものだろうか。 著者は政治学を専門とする大学教授である。「話すも涙、聞くも大笑いの人生の諸々の事情」があって、47歳にして人の親となった。小学校のママ友やパパ友のほとんどは干支一回り以上年下だ。そんなママ友からある日「相談があります」と呼び出され、いきなりこんなお願いをされた。 「来年、PTA会長になってくれませんか?」 まさに青天の霹靂だ。驚いた著者は必死に出来ない理由を並べ立てる。「フルタイム・ワーカー」だから無理!「理屈っぽくて、短気で、いたずらにデカいジジイ」だから無理!ところがママ友は決してあきらめず、最後は情に

    『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
  • 麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 歴史、特に最悪の医療の歴史などを読んでいると、あ〜現代に生まれてきてよかったなあと、身の回りに当たり前に存在する設備や技術に感謝することが多い。昔は治せなかった病気が今では治せるケースも多いし、瀉血やロボトミー手術など、痛みや苦しみを与えるだけで一切の効果のなかった治療も、科学的手法によって見分けることができるようになってきた。 だが、そうした幾つもの医療の進歩の中で最もありがたいもののひとつは、麻酔の存在ではないか。正直、麻酔のない世界には生まれたくない。切ったり潰したりするときに意識があるなんてゾッとする──現代の医療に麻酔は絶対絶対必須だ。そのわりに、患者に麻酔を施す麻酔科医の仕事は光が当たりづらい分野である。何しろ実際に手術や治療を担当することはめったにないから、麻

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ
  • 『スモール・スタート あえて小さく始めよう』会社員のうちに始めよう - HONZ

    新しいことを始めたい、だけどなかなか始められない。そう思っている人のやらない理由を、一つずつ消していってくれる一冊だ。 著者の水代優さんは、日橋浜町にHama Houseというブックカフェを作ったり、最近では丸の内にMarunouchi Happ.stand&galleryというPOP UP GALLERYを作った人物だ。とはいっても、何をやっている人なのか一言で説明するのがなかなか難しい。当に先鋭的なアクションというのは言葉で説明されても理解しづらいが、その場を訪れ直接体験してみるとなるほどと思うことが多いものだ。 しかしそんな水代さんの第一歩も、出来上がったものからは想像できないくらい小さなことから始まった。書は、それを実現するための思考回路が余すところなく収められた一冊である。時代からくる必然性、動き出すことに対するリスクの勘案、続けるためのノウハウ等、読み手の「でもさ〜」とい

    『スモール・スタート あえて小さく始めよう』会社員のうちに始めよう - HONZ
  • 『20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る』 - HONZ

    以前、HONZでも書評を書かせて頂いた(『宇沢弘文 傑作論文全ファイル』)、経済学者の故宇沢弘文氏の旧宅「宇沢国際学館」に夜ごと集まって、経済や医療や国際関係などの話をする不思議な会合がある。 書の著者の合田真氏とはその席で隣り合わせて、日植物燃料という会社を経営しているというから、今関わっているリゾート施設のバイオマス発電の話でもしようかなと思ったら、京都大学で冒険部にいたけど中退したとか、アフリカでバイオ燃料をやっているとか、終いにはモザンビークで新しい銀行システムを作っているとか、初めはかなり怪しげな話だなと思って聞いていた。 そもそも、アフリカで「電子マネー経済圏」を作るのに、「20億人」と言っている所からして何かおかしいと思った。と言うのも、アフリカの現在の人口は12億人しかいないからだ。 ところが、合田氏の話す内容が100%フィンテック絡みの話で、それが金融出身の私には、結

    『20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る』 - HONZ
  • あなたはなぜ特定の色を好むのか?──『好き嫌い―行動科学最大の謎―』 - HONZ

    あなたは何色が好きですか? と聞くと大抵の人はペラペラとこんな色が好きですと答えてみせる(僕は灰色だ、地味だから)。初対面同士の飲み会ならなんか嫌いなものorべたいものでもあります? と聞くものだし、映画小説など、作品を鑑賞する際にも、好みは密接に関わってくる。巨大人型ロボット物は嫌い、という人もいれば巨大人型ロボット物ならなんでも大好き! という人もいるものだ。 その違いはなぜ発生しているのだろうか? べ物に関してはアレルギーなどがあるだろうが、そうでない場合は何が関係しているのか? 育ってきた環境の違いか、進化論的に脳に組み込まれているのか? 日々の選択は現在、未来の嗜好にどのような影響を与えていくのだろうか。ひょっとしたら、好き嫌いは完全にただの思いこみだったりするのかもしれない。書『好き嫌い―行動科学最大の謎―』はそうした好き嫌いに関連した行動科学についての一冊である。 た

    あなたはなぜ特定の色を好むのか?──『好き嫌い―行動科学最大の謎―』 - HONZ
  • 哲学と科学の間。文系がハマる脳科学本 『脳の意識 機械の意識』 - HONZ

    物質と電気的・化学的反応の集合体にすぎない脳から、なぜ意識は生まれるのか。書は、この謎に気鋭の脳神経科学者が迫った一冊だ。現代科学の最前線の知見を手がかりに、「人工知能」ならぬ「人工意識」の可能性に切り込む。「幼少期が終わり、大きな転換点を迎えている」この分野の現状をまとめ、これからを見通した非常にエキサイティングなだ。 私は近ごろ、女性を見て、オンナを意識することが少なくなった。への愛が深いからなのか、歳をとったからなのか、はたまた悪い病気でも潜んでいるのだろうか。でも書を読んで、「女性を見る」ことができるだけでも、スゴイことなんじゃないかと思うようになった。このの「意識」とは、物質にすぎない脳が「何かを見る」という感覚意識体験のことである。 「見える」「聴こえる」などの感覚意識体験、いわゆる「クオリア」。我々一般人には当たり前過ぎて、それが「意識」だという認識すらないかもしれ

    哲学と科学の間。文系がハマる脳科学本 『脳の意識 機械の意識』 - HONZ
  • 『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ

    「ありそうもないこと、稀有なこと、不可思議なこと、奇跡的なこと」。生物地理学者のギャレス・ネルソンはかつてそんな言葉でそれを嘲笑したという。だが実際には、どうやらそれは生物の歴史において何度も生じていたようだ。それというのは、生物たちによる長距離に及ぶ「海越え」である。 書が挑んでいる問題は、世界における生物の不連続分布である。世界地図と各地に生息する生物を思い浮かべてほしい。大西洋を挟んで、サルはアフリカ大陸にも、南アメリカ大陸にも生息している。また、「走鳥類」と呼ばれる飛べない鳥たちは、南半球の4つの隔たった地域に分布している。さらに、ガータースネークはメキシコ土で見られるが、そこから海で隔てられたバハカリフォルニア半島の南部にも生息している。 そのように、系統的に近しい多くの生物が、海などの障壁で隔てられた、遠く離れた地域に生息している。しかしそうだとしたら、彼らはいったいどうや

    『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ
  • とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ

    どうやったら、我々人間は動物の感覚にもっと近づくことができるのだろう。たとえばアナクマのように巣穴で眠り、森を徘徊して獲物を物色する。たとえばカワウソのように水辺に住んで魚やザリガニをべて生き、ツバメのように空を飛び、糞を撒き散らす。そうやって動物たちと同じように生きたら、彼らがみている世界を追体験できるのではないだろうか? そんな、言っていることはわからないでもないが自分でやろうとは思わないことをまともにやってしまった狂人が、書の著者であり、2016年のイグノーベル賞の生物学賞を受賞したチャールズ・フォスターである。狂人とは言い過ぎで、著者に対する敬意を欠いているのではないか? と思うかもしれないが、この記事を読み進めてもらえればその事実が把握いただけると思う。 人間とキツネなど他の動物たちとの間には境界があると著者はいう。それは当然だ。我々はキツネと子どもを作ることはできないし、カ

    とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ
  • 『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ

    もし、子育ての成功を定義できるのであれば、成功への道があるのならば、それを知りたいと思う人はたくさんいるはずだ。そして書は、子育てにおいて、科学でわかっていることは何か、何を成功として定義して、その成功のために何をすればいいのか、を学習科学・発達心理学の知見を見事に体系化したである。 「子育て」と「成功」という2つの言葉は相性が微妙で共鳴しづらいが、学習科学と発達心理学の第一人者である2人の著者は明確な意図を持って、この挑発的なタイトルを設定している。その意図とは、知識を詰め込めば成功できるという時代遅れの思考回路から教育現場を開放し、新しい考えを広く伝えようとする強い情熱だ。書籍以外にも、ディズニー、レゴ、子供博物館などのコンサルタントを努め、最新の考え方を浸透させる行動をしている。背景にあるのは、アメリカの惨憺たる教育事情である。 世界各地で叫ばれ続けている教育改革、ビジョンや政策

    『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ
  • 『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ

    『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方文庫解説 by 橘 玲 『子育ての大誤解』は掛け値なしに、これまででわたしがもっとも大きな影響を受けたのひとつだ。なぜなら長年の疑問を、快刀乱麻を断つように解き明かしてくれたのだから。 いまでいう「デキ婚」で24歳のときに長男が生まれたのだが、その子が中学に入るくらいからずっと不思議に思っていたことがあった。親のいうことをきかないのだ、ぜんぜん。13、4歳のガキと30代後半の大人では、経験も知識の量も圧倒的にちがう。どちらが正しいかは一目瞭然なのに、それを理解できないなんてバカなんじゃないのか、と思った。 しかしよく考えてみると、自分も親のいうことをまったくきかなかった。だとすればこれは因果応報なのだとあきらめたのだが、それでも謎

    『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ
  • 二次元世界の住人から、三次元はどう見える?──『フラットランド たくさんの次元のものがたり』 - HONZ

    作者:エドウィン.アボット・アボット 翻訳:竹内 薫 出版社:講談社 発売日:2017-05-12 フラットランド。そこは二次元の世界。立体が存在しない、いわば紙の上の世界だ。 そんな世界にも住人は存在する。まず女性は直線で、兵士や下層階級の労働者は二辺の長さが等しい三角形。中産階級は正三角形と、それぞれ形で身分が決定されている──そんな特殊な世界を描きながら、自身の今いる次元の世界から、一つ上、あるいは下の世界がどのように見えるのかを物語として描き出したのが、書『フラットランド たくさんの次元のものがたり』だ。 原書が出版されたのは1884年のイギリスである。当時は評価されなかったというが、「二次元世界の住人」という架空の視点を導入することで次元の質をついた内容が、アインシュタインの相対性理論発表以後、再評価された。書はその日語新訳版である。百年以上前のじゃん! と思うかもしれ

    二次元世界の住人から、三次元はどう見える?──『フラットランド たくさんの次元のものがたり』 - HONZ
  • 『世界でもっとも強力な9のアルゴリズム』で頭を鍛える - HONZ

    著者の定義によると、アルゴリズムとは「問題を解決するために必要な手順を正確に規定したレシピ」である。コンピュータ・サイエンスを専門とする大学教授の手による書は、現在当たり前のように使われている偉大なコンピュータ・アルゴリズムがなぜ必要とされたのか、どのように考え出されたか、そして、それが実際にどのような仕組みで動いているのかを教えてくれる。 このように紹介すると、コンピュータやプログラミングが苦手な人は手が遠のいてしまうかもしれないが、どうかご安心を。書を楽しむのに、コンピュータプログラミングやコンピュータ科学の知識は必要ない。必要なのはじっくりと考えることだけだ。 一口にサイエンスといっても面白いポイントはそれぞれに異なるが、書の面白みは間違いなく、過去の偉人たちの難問への挑戦を疑似体験できるところにある。その面白みを満喫するためにも、頭から煙を出しながらじっくりと考えながら読む

    『世界でもっとも強力な9のアルゴリズム』で頭を鍛える - HONZ
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