TPP(環太平洋経済連携協定)を巡る日米の事前協議が大詰めを迎えている。一方、これも多くの読者がご存知の通り、TPPに先行する形で、大西洋を跨ぐFTA(自由貿易協定)交渉も進行中である。EU(欧州連合)と米国の包括的FTA「環大西洋貿易投資パートナーシップ(以下TTIP)」。いわば「欧米版TPP」である。 今年2月13日、EUのファンロンパイ大統領、バローゾ欧州委員長、そして、米国のオバマ大統領は「TTIP開始に必要な内部手続きを開始する」との声明を連名で発表した。オバマ大統領は、これより1日早い12日に一般教書演説の中でTTIPの交渉開始を宣言。約1カ月後の3月20日には米議会に対し、EUとの交渉入りを正式に通告している。 2月以前は、作業部会レベルの折衝が難航しているため、欧米FTAは正式交渉に漕ぎ着けられないとの慎重な見方が大半であった。ところが、TTIPを取り巻く情勢は急展開を見て