東日本大震災はいつの間にか3.11と、日付の洋数字だけで表記されるようになった。大きな歴史の「区切り」という意識が生まれたことを意味するのだろうか。あのニューヨークの世界貿易センタービルが崩壊したテロの日も、「世界が変わった日」と呼ばれ、9.11と表記される。あるいは8.15終戦の日や、2.26陸軍皇道派クーデター未遂事件の日も同じだ。 ドイツが受けた「アイコニック・ターン」の衝撃 ドイツ紙「ヴェルト」は震災直後3月17日の文化欄記事「イメージの力」【Die Macht der Bilder, DieWelt, 17 Marz】で、噴煙を上げて爆発する福島第1原発の原子炉建屋の画像を掲げ、「世界はこの原発爆発を目撃し、技術の制御力への信頼が打ち砕かれた」と論じた。それは、9.11のツインタワー崩壊の画像と同じように「グローバルな記憶」――人類が共有するハードディスク――に刻み込まれたのだ、