「働き方改革」という言葉をよく聞くようになった。私も当初から強い関心を寄せていて、単なる「早く帰りましょう」キャンペーンで終わってほしくない。もう一歩踏み込んで言えば、この改革を「組織から個人を解放するための運動にまで発展させなければならない」と思っている。 個人に酷なことも多かった日本の組織だが、一方で、個人を矢面に立てずに守ってきた側面もある。我を主張せずに組織に埋没するのは、それはそれで心地よい生き方でもあったのだろう。だが、それが組織の非効率を生んできた。働き方改革は、そのような日本の組織と個人のあり方を変える、またとない契機だと思う。 財務省は「家族的」な組織だった 私が社会に出て最初に所属した「財務省」という組織は、驚くほど「家族的」だった。入省してすぐに、私はその洗礼を受けることになる。 4月、緊張した面持ちで配属先に案内された私の前で、財務省の先輩方は、新人にかまう余裕がな