日に日に寒くなる朝、 体が温かくなるように勢い付けて 大学行きのバス停まで歩く癖がついている。 いつものように、本通りから脇の抜け道に入ると、 ホームレスの雑誌「ビッグ・イッシュー」を売る男の子が フリースのジッパーを首まであげ、ボンボン付numberを被って、 これもまたいつものように、寒さを紛らわすように 足でリズムを取りながら声をかけてくる。 「ビッグ・イッシュー、プリーズ。サー」 僕は、通りすがりにちらっと表紙を見て 数メートル行き、引き返した。 「最新号はジョージ・マイケルの特集なんだって?」 「そうさ。だから買わない奴はバカなのさ」 「じゃあ、僕らはバカじゃない、だって妻は、マイケルのフリークだから。買うよ」 と言いながら2ポンドを渡す。 マイケルの記事はダイレクトなインタビューではなかったものの、 2年前にハンガリーで彼のコンサートに出かけたことを 思い出しながら、通勤バスの