木々が生い茂った深い森を見ていると、この森が、何百万年もの太古の昔から深い森であったような錯覚に陥る。しかし実際には、ほんの少し前まで、大きな天変地異で生じた荒原だった例も少なくない。そもそも森林は、もとを突き詰めてたどれば、木立一本無い寂寞とした荒野から始まっている。植物の種子も切り株も何もない荒野から始まり、森林へと変化する場合、その変化の過程を一次遷移と呼ぶ。一次遷移が始まる代表的な場所としては、火山の大爆発によって火山礫が全ての植物を埋め尽くしてできた火山荒原や、海底が隆起してできた陸地などがあるが、そんな植物の痕跡が全くないところでも、何百年も経つとどこからともなく植物がやってきて定着し(先駆植物と呼ばれている)、やがて草原ができ、さらに樹木が定着して、最終的には鬱蒼とした森林になったりもする。 さて現在私たちは、この一次遷移に焦点を当ててそこでの先駆植物の定着メカニズムを調べて