吉本さんのところには、 実に個人的な質問を抱えて おじゃますることがあります。 この日は、翌日に、ぼくが、 ある映画である役を演じることになっていまして。 できないのは目に見えているんだから ていねいにお断りすればいいものを、 「やってみたい」という気持ちが強いものだから、 ついつい引き受けちゃうんですよね。 いままで、何度となく「演技」をする機会があって、 それはことごとく失敗してきているんです。 「でも、なんか、なんかわかればできるんじゃないか」 そういう野望が、どうしても消せないのです。 で、吉本さんにこのことを、 まるごと訊ねてみたいなぁと思ったんですよね。 どんな答えでも、よく聴いてみたかった。 で、とてもいい話がうかがえたのですが、 それを心にとめて、撮影現場に行ったぼくは、 結論として、やっぱりうまく行きませんでした‥‥。