Krypt, Kamakura, 2012. Photo: Awane Osamu. 「土方巽はエレガンス、大野一雄はダンディズム」と、舞踊評論家の友が言った。「じゃあ、室伏鴻はケモノぶり」とわたしは答えた。エレガンスもダンディズムも文明的人間に備わった美的属性だ。一方、室伏は人間は人間でも文明化以前のケモノになってしまう。さらに、もっと別のイキモノにも変容してしまう。それは危険な光景だ。檻から解き放たれた豹がゆっくりと歩むのを、息を潜めて遠巻きに見守っているような印象。いつ何時、牙をむいてこちらに飛びかかってくるか知れたものではない。あるいは、得体の知れないイキモノが投げ込まれた印象。ぞくぞくするほど怖いのに、引き締まった筋肉の動きに魅せられ、目が離せない。 室伏のソロには、変容のきっかけを呼び込む定番的な動きが伴っていた。「仏倒れ」である。正式な名称は知らないが、仏像がバタッと倒れるよ
2015年8月2日。京都市内で、和と洋の“極上のコラボレーション”が行われていたことを、あなたは知っているだろうか? 舞台は世界遺産・清水寺。1,200年以上の歴史を持ち、さまざまな芸術を後押ししてきたこの場所で披露されたのは、世界一のダンスアーティストLES TWINS(レ・ツインズ)と、ニューヨークで活躍中の二十絃箏奏者黒澤有美の共演だ。「清水の舞台」という言葉が、これほどまでに似合うシチュエーションは、現代ではそうお目にかかれないはず。 念のため説明すると、LES TWINSはYouTubeの総再生回数が3億回を誇る、フランス・パリ出身のダンスアーティスト。彼らと、3歳で両親から13絃箏を学び始めた黒澤が、一夜限りの奉納ライブを実施したというわけ。 以下の映像は、そのライブの模様と境内各所でのダンスパフォーマンスを、清水寺公式Instagramで好評の須藤和也氏が撮影・編集したもの。
日本人らしさ、日本の伝統って何だろう? 2020年『東京オリンピック・パラリンピック』の開催が正式に決まった一方、アジア周辺諸国との関係がイマイチだったり、「クールジャパン」のように、日本文化輸出の問題がいろんなところで取り沙汰され、日本人のアイデンティティーについて考えさせられることも多い、今日この頃。 そんな中「世界的な文化創造都市・東京」の実現を目指す、東京文化発信プロジェクトのプログラムとして、11月1日に『日本舞踊と邦楽による道成寺の世界-人間国宝と若き俊英の競演-』が開催される。能楽や歌舞伎、邦楽など様々な伝統芸能の中で表現され続ける「道成寺伝説」。その中から『娘道成寺』『日高川』『鐘の岬』を、人間国宝の西川扇藏、新内仲三郎、今藤政太郎をはじめ、気鋭の舞踊家・演奏家たちが上演する。 そして同イベントのナビゲーターを務めるのが演劇評論家の渡辺保。歌舞伎や能はもちろん、オペラから劇
〈ドキュメント・アクション〉では、ダンスのドキュメンテーションに複眼であたるため、様々な立場でダンスにかかわる人の目と手を必要としています。そのため、過去にドキュメント経験のあるスタッフが、初心者向けに写真、映像などのワークショップを行います。ダンスに従事する者が独学で身につけたスキルや経験を共有するだけなのですが、少しなりとも動きやすなっていただければドキュメントも増えようという魂胆です。 今年はこのメニューに「まわし読みドキュメント」が新たに加わりました。需要はあるのにできなかった「ダンスについての言葉」を意識するワークショップです。ダンスを言葉にすることに興味がある。けど実際にどう書けばいいのかわからない。こういった関心で〈ドキュメント・アクション〉に参加してくださる方は、実はけっこういるのですが、これまでは書いてる途中か後にアドバイスするくらいしかできませんでした。それはそれで好評
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く