上野まで 上野までの京浜東北線、となりの女性が語呂合わせの暗記本を読んでいた。ちらちら覗くと内容がへんだ。 「言語領域の優先順位は」 「麻酔の作用は」 看護か薬学だろうか。しかし憶えかたは大化の改新ムシゴロシみたいなものだった。僕が入院して看護婦さんが点滴準備するときに「えーと、ムシゴロシ…」 とか言っていたらすこし怖い。いや、それがきっかけで仲良くなれるだろうか。 猫みたいにうどんを食べる人 上野でいきなりおなかすいたのでうどん屋に入る。となりの男性が「もふっ、ふも、ふう」と声を出しながら食べていた。 実家で飼っていた猫も刺身をあげると声を出しながら食べていた。 うどんがおいしいのだろうか。 僕がちらっと見たら声を出すのをやめてしまった。悪いことをした。 東北線に乗る。朝の時間のせいかごはんを食べている人が多い。おにぎりを食べながらペットボトルのお茶を飲んでいる。ごはんを食べ終わるといっ