ブックマーク / saebou.hatenablog.com (6)

  • 父性の失敗、女の徳〜『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を見てきた。 『スター・ウォーズ』シリーズには以前から「父性の失敗」というモチーフがあるのだが、この『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は父性の失敗、とくに父子関係の悪化を突き詰めまくった作品である。アナキンは処女受胎で生まれ(つまり父親がいなかった)、前三部作では息子が悪に堕ちた父と対決するという内容だった。前作『フォースの覚醒』ではハン・ソロが非行に走った息子に殺害されている。『ローグ・ワン』ではヒロインの実父と養父の両方が殺害されている。さらに今作では、前三部作では父に反逆する息子であったルークが、実は養父的役割を果たしていたカイロ・レンを悪の道に走らせるきっかけを作っていたことが明らかになる。とにかく生んでようが育てていようが「父親」的なるものがボコボコにされる。レイはハン・ソロともルークとも一応、疑似父娘的関係を築いていたのだが、ハン・ソロは死

    父性の失敗、女の徳〜『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
  • 受動的な創られたヴィラン~『ジョーカー』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『ジョーカー』を見てきた。『バットマン』の悪役であるジョーカーがどうやってジョーカーになったのかを描いた作品…というのは建前で、ほとんど別の映画である。 wwws.warnerbros.co.jp ゴッサムシティに住むアーサー(ホアキン・フェニックス)はピエロの仕事をしながら母ペニー(フランセス・コンロイ)の介護をしている。アーサーは突然笑い出してしまうおそらくトゥレット症と思われる症状を抱え、精神的にも不安定でカウンセリングと投薬を受けているが、それでも憧れの仕事であるスタンダップコメディアンを目指して頑張っていた。しかしながらゴッサムシティが荒廃するとともにアーサーの人生はどんどん下り坂になる。ピエロの仕事の最中に悪ガキどもに襲われ、仕事はクビになるし、市当局が福祉を打ち切ったせいでカウンセリングも投薬も受けられなくなる。度重なる不幸のため限界になったアーサーをどんどん狂気が蝕んでいく

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  • ノッティング・ヒルの悪人、クマに追われて退場〜『パディントン2』 - Commentarius Saevus

    『パディントン2』を見てきた。大ヒットした前作の続編で、パディントン(ベン・ウィショー)が落ち目の役者、フェニックス(ヒュー・グラント)に濡れ衣を着せられて刑務所に入れられてしまい、脱獄の末無実を証明するという内容である。 とにかく可愛らしくて面白おかしくて心温まるお話で、随所にちりばめられたユーモアや、かなりきちんとロケをしてリアルに描いているロンドンの風景も見物だ。パディントンが住んでいるウィンザー・ガーデンからノッティング・ヒルにかけては非常にマルチカルチュラルな地域なのだが、今作では前作よりもそのへんがリアルで、ご近所のデュボワさんにパディントンがフランス語で挨拶してたり(私は2年半ノッティング・ヒルに住んでたのだが、とにかくフランス語話者が多い地域で毎日のようにフランス語を聞いてた)、南アジア系やカリブ系が多いのもいかにも西ロンドンらしい(うちの家主もスリランカ系だったし、ノッテ

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  • 画面の全てが女の心を映す〜『キャロル』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    トッド・ヘインズ監督の新作『キャロル』を見てきた。原作はパトリシア・ハイスミスの『キャロル』である。とにかくびっくりするくらいよくできている映画だ。 1952年のニューヨークを舞台に、ふたりの女性の恋を描いた映画である。離婚を控えた美しい中年女性キャロル(ケイト・ブランシェット)がデパートで働く写真家志望の若い娘テレーズ(ルーニー・マーラ)と出会い、恋に落ちる。ところがキャロルの夫であるハージ(カイル・チャンドラー)が独占欲を発揮し、キャロルの性的指向をネタに娘リンディの親権を奪おうとしはじめる。キャロルは窮地に陥り、一度はテレーズと別れようとするが… まず、監督であるトッド・ヘインズのこだわりがすごい。全体的にどの画面も完璧に美しく50年代風で、かつ意味のあるものに見えるよう計算し尽くされており、たいしたことが起こらないような場面でも細部まで緻密なので観客は気が抜けず、はっきり言って見て

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  • いい男が突然歌ったり踊ったりしはじめる映画のプレイリスト - Commentarius Saevus

    昨日、「自分の癒やしのために、いい男が突然歌ったり踊ったりしはじめる映画のプレイリストを作ろう」と決めたので、今日はそれを実行に移すことにした。「いい男」は自分基準なので異論は大いにあるだろうと思う。いい男といい女が突然、社交ダンスを踊り出すものは基除外した。「突然」がキーワードなので、ミュージカルとかは基、除外する。 ・The Fastest Gun Alive(1956) いい男…ラス・ランブリン ↓ここしか見たことないのだが、これはスゴい。『ウェスト・サイド・ストーリー』以前のラス・タンブリンが踊っている。 ・『その男ゾルバ』(1964) 音楽…「ゾルバの踊り」 いい男…アンソニー・クイン ↓年代物だが、なんともいえない味わいが。 ・モンティ・パイソン「今日の考古学」(1970) 音楽…なんだろうね いい男…ジョン・クリーズ ↓※個人の趣味です ・『サタデー・ナイト・フィーバー』

    いい男が突然歌ったり踊ったりしはじめる映画のプレイリスト - Commentarius Saevus
  • 女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選 - Commentarius Saevus

    最近『風と共に去りぬ』の話をした上、今日せっかく『恋のからさわぎ』について研究発表をやるもんで、記念ということでちょっと女の子が死にたくなる前に聴いておくべきサバイバルのための洋楽ガールズアンセム100選の続編として、「女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選」をやろうかと思う。どーせそこらへんに散らばってる数多の映画ベスト100とかはロックベスト100と同じで女性からするとつまんなかったりするものが多いので、たまには女性が元気出るリストを作りたい。 選考基準は以下。 1. 女の子が打ちのめされた時に自殺しないよう、自分の心を強くするために見ておくべき映画である。 2. 外国映画である(これは私の知識の限界のため)。 順位は結構いい加減なのだが、基的に上から下へ行くほど緊急度が低くなる。上のほうはもうどんなボロボロ女でも一瞬にして救ってくれるくらいのチッ

    女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選 - Commentarius Saevus
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