京都の国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋」は、上質な肉と独特のレシピが評判を呼び、いまでは古都の行列店の一つとして知られる。 この店が注目されたのは、じつはそればかりではない。既成概念から離れた経営手法により、労働時短などの働き方改革やフードロス削減などで効果をあげ、飲食店ではとくに取り組みが困難と考えられていたこうした問題で、ロールモデルに名乗りをあげたからだ。 「売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放」(中村朱美著)ライツ社 赤身の多い国産牛を「利き肉」して選ぶ 「佰食屋」は、当時20代後半だった若い夫婦が「定年後に」と考えていた店を「どうせなら」と、大きく前倒しして2012年11月に京都市右京区に開いた。丼一杯のご飯と食べてももたれない、赤身が多い「国産交雑牛」を「利き肉」して選び、焼き加減と調理法を工夫して提供するステーキ丼は自信のメニュー。ところが、いざ開店してみる