多くの人は、時間は過去から現在へ、そして未来へと流れるというように考えるのではないだろうか。しかし、主に認知言語学的視点から時間を考察する瀬戸(2017)によると、このイメージは錯覚である可能性が高い。むしろ、様々な認知言語学的証拠によって、われわれにとっての時間は、未来から現在へ、そして現在から過去に流れていく存在であることが確認できることを瀬戸は示してくれる。つまり、空間的にとらえるならば、未来は後ろ、過去は前であり、時間は、後ろから前という方向で未来から過去に向けて流れるものなのである。以下に、その証拠を示していこう。 まず、未来の時間は遠いところからどんどんと私たちに近づいてくる。例えば、平成の終わりはまだまだ遠いと思っていたが、気がついたらもうすぐやって来ることに気づく。春が来ると、もうそこに平成の終わりがある。そして、現在の時間はすぐに過去となり、過去となった時間はどんどんと遠