ボタ山ジャズの原風景 2006年10月16日 ジャズピアニストの山下洋輔(やました・ようすけ)(64)は、半世紀前に習った踊りをまだ覚えている。 山下洋輔さん 「ザ・フライング・エレファンツ」の木村康治さん(中央)ら 月が出た出た 月が出た 炭坑節である。 「掘って掘って、また掘って」とスコップですくうような身ぶりをしてみせながら、山下は言う。「子供のころ、こうやって田川で覚えたんです」 ◇ 父啓輔(けいすけ)が三井鉱山本社から技師長として転勤、一家が東京から九州に移ったのは小学3年の時だ。中学1年途中まで福岡県田川市に住む。国内最大の産炭地・筑豊は朝鮮戦争の特需に沸いていた。 自宅は四季折々に父の部下が集まり、飲めや歌えの宴会場と化した。最後はいつも炭坑節。8畳2間続きの広間に20人を超す輪ができた。山下も懸命に覚えた。 「人が集まれば必ずやるもの、この町にとって大事なもの、よそ者が最初