著者:米澤穂信 『王とサーカス』出版:東京創元社 感想・あらすじ・レビュー 『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞し、ますます「米沢ミステリー」に磨きが掛かかる。2001年にネパールで実際に起きた「ネパール王族殺害事件」を題材にし『さよなら妖精』の10年後の太刀洗万智が大きな事件に巻き込まれながら、自身のアイデンティティを揺さぶられ、葛藤する姿を描きながらも、しっかりとミステリー作品としても両立された大作に仕上がった。 ★★★★★ 【スポンサーリンク】 『さよなら妖精』の10年後の2001年、太刀洗万智(たちあらい まち)は、勤めていた新聞社を辞め、フリージャーナリスト・ライターとなる。 その記念すべき初仕事として、雑誌編集長からネパールの海外旅行記事執筆の依頼を受ける。 先乗り取材として、予定より早くネパールの首都カトマンズに乗り込むが、万智を待ち受けるのは未だ混沌・雑然としたカトマンズの