信越トレイル。2008年9月に全線開通したこのトレイルは、長野と新潟の県境に連なる関田山脈の尾根を結ぶ、全長にして約80kmのロングトレイルだ。鍋倉山を中心とした標高1,000mほどの山並みは、ブナの美林に囲まれ、サルやツキノワグマなどの野生動物たちの住処ともなっている。 また、地理的な意味合いからみれば、信州と越後をつなぐ交通の要衝ということもあり、山脈を越える峠道が16も存在している。戦国の時代には、かの上杉謙信も川中島の合戦へと向かうため、幾万もの兵を連れて利用したらしい。 そんな自然も歴史もある信越トレイルは、去る4月17日に亡くなったバックパッカーの加藤則芳さんが、ブレインとして切り拓いた道でもある。関田山脈にトレイルを整備する話が持ち上がったときに、いまの信越トレイルクラブのメンバーが、加藤さんに相談を持ちかけたのが始まりだった。 長い距離を歩き続けることで、自分に対しても自然